居宅介護支援事業所へケアマネが転職するメリット・デメリット
ケアマネージャー(ケアマネ:介護支援専門員)が働く職場の1つに「居宅介護支援事業所」があります。居宅介護支援事業所とは、主に自宅で生活する要介護者のサポートを行うケアマネが属するところです。
居宅介護支援事業所に勤めるケアマネは、通称「居宅ケアマネ」と呼ばれます。
そして、居宅ケアマネには「患者さんの自宅に直接入ってサポートすることができる」というメリットがあります。そのため、家族とも関わりを持ちやすく、家族の人から感謝されることがあるのも、居宅ケアマネの魅力です。その一方で、休みの日に電話がかかってきたり、家族の協力が難しかったりと苦労することもあります。
居宅介護支援事業所へ転職したいと考えている場合には、こうしたメリットや注意点などの両面を知った上で転職することが大切です。
そこで今回は、「居宅介護支援事業所へケアマネが転職するメリット・デメリット」について解説します。
居宅ケアマネになることで得られるメリット
ケアマネが居宅支援事業所へ転職すると、さまざまなメリットを得ることができます。居宅ケアマネへの転職を考えている場合には、まずはこうした良い点について知っておくことが大切です。転職するメリットを理解しておくことで、転職活動への意欲につながります。
そこで以下に、居宅ケアマネになることで得られるメリットについて記します。
家族とコミュニケーションが取りやすい
居宅ケアマネの仕事は、主に要介護者の自宅での生活をサポートすることになります。そうした利用者の中には、家族と一緒に暮らしている人もいますし、一人で生活している人もいます。
そして、当然ながら良い介護サービスを提供して、利用者の生活を充実したものにするためには家族の協力が必要になります。
例えば、大腿骨を骨折した後に、歩行が困難となって要介護状態になった人がいるとします。ただ、杖を付いて家族が見守りをすれば、問題なく外出も行うことができます。そのため、訪問リハビリなども利用していますが、それとは別に家族の人と一緒に散歩に行く時間を作ることが重要になります。
こうした際に居宅ケアマネは、直接家族と連絡を取ることになるケースが多いため、家族の人とのコミュニケーションが取りやすいです。特に、自宅で一緒に生活されている人であれば、訪問時に顔を合わせて話をするようになるため、関係性が作りやすいです。
そのため、家族への依頼が行いやすく、スムーズにケアマネジメントを行うことができるようになります。
また、ケアプランによって利用者の生活が良くなった場合には、本人からだけでなく家族からお礼の言葉をいただくこともあります。中でも、介護によって家族にかかる負担が大きいような状態であった人で、「介護サービスを利用することで家族の介護量が減った」というケースでは、家族の人から感謝されることっが多いです。
もちろん、このように人から感謝されることが目的ではありません。ただ、このように家族の人と直接関わって感謝されることは、居宅ケアマネとして働く魅力の1つだといえます。
スキルアップにつながる
介護老人保健施設(老健)や介護老人福祉施設などに勤めるケアマネは、施設における利用者のケアマネマネジメントを行います。それに対して居宅ケアマネは、自宅で生活する要介護者に対してのサポートが主な仕事になります。
当然、施設では施設だからこそ学べることもたくさんあります。ただ、在宅での生活をサポートしている居宅ケアマネしか経験することができないこともたくさんあります。自宅で生活しているからこそ起こりえる問題やトラブルについて考えることで、ケアマネとしてのスキルアップにつながります。
例えば、病院や施設であれば、看護師や介護士が介護を行うため、誰かに介助方法を聞かれることなどはありません。また、医療に関することも、医師や看護師がいるため質問されることは少ないです。
その一方で居宅ケアマネは、利用者の家族から介助方法を聞かれたり、薬や食事などで注意することといったような医療に関することを質問されたりします。そのため、居宅ケアマネとして仕事をしていると、自然と介護技術や医療の知識について詳しくなります。
また他にも、団地などで生活している利用者であれば、横や上に住んでいる人たちと関わる機会も多くなります。
近隣の住民から「最近○○さん(利用者)の様子がおかしい」「○○さんが夜に出て行っている」というような貴重な情報が得られることもあります。そのため、こうした直接介護サービスとは関わりの無いような人たちとのコミュニケーション能力や調査能力も高くなります。
このように居宅介護支援事業所へケアマネが転職することで、「家族とのコミュニケーションが取りやすい」「スキルアップしやすい」というメリットがあります。
居宅ケアマネになって起こりえるデメリット
居宅ケアマネとして転職すると、家族と連携を取りやすかったり、在宅ならではの経験をできたりするというメリットがあります。その一方で、居宅ケアマネだからこそ体験する苦労もあります。
居宅介護支援事業所への転職を考えている場合には、こうした良い面だけでなく苦労する面も知っておくことが大切です。デメリットというわけではありませんが、居宅ケアマネだからこそ注意すべきことを理解しておくことで、転職後のミスマッチをなくすことができます。
そこで以下に、居宅ケアマネへ転職したあとに起こりえるデメリットについて記します。
家族からの協力が得られない
既に述べたように、「家族とのコミュニケーションが取りやすい」ということは、居宅ケアマネのメリットだといえます。ただその一方で、中には家族が非協力的なケースも多くあります。
特に在宅で生活する要介護者においては、ケアマネジメントを行っていくチームの中でも家族の役割が大きくなります。当然ながら、主治医や看護師、理学療法士、作業療法士といったリハビリ職者も大切です。しかし、何よりも家族の協力があってこそ、要介護者の自宅での暮らしは充実したものになります。
例えば、利用者の体調が優れない場合に、ケアマネであるあなたは病院を受診させたいと考えたとします。その際に、もし家族と同居しているのであれば、通常は家族にお願いすれば、家族が病院へ連れて行きます。
ただ、中にはいくら病院の受診を促しても家族が病院へ連れて行ってくれないケースもあります。
そうした際には、利用者の命が優先であるため、あなた自身が病院へ同行して連れて行かなければいけないようなこともあります。
また他にも、利用者自身に少しでも動いてもらおうと思って、家族の人に「○○さん(利用者)ができることはできるだけ本人にさせるようにしてください」とお願いしたとします。しかし、「動きが遅いから待っていられない」「全部こっち(家族)が行った方が早い」などの理由で協力してくれないことは多いです。
このように、居宅ケアマネの中には、家族との関わりで苦労する人がたくさんいます。
休日にも電話がかかってくる
居宅ケアマネの場合、利用者やその家族の方と、直接電話のやり取りを行うようになることが多いです。そうなると、休日であっても利用者やその家族から電話がかかってくることも少なくありません。
例えば、一人暮らしの利用者から「タンスをどかしたいんだけど動かせない」「急に体調が悪くなった」などの連絡があることもあります。
ケアマネは、「気軽に頼れる専門職」というような認識を持たれていることがほとんどです。確かに、休日であっても必要なことであれば電話を受けて対応しなければいけません。ただ、中には「これって私(ケアマネ)に電話しなければいけないこと?」と感じるような内容のときもあります。
そして、電話の内容が必要なことであっても何気ないことでも、休日に電話があることに対して「気持ちが休まらない」と感じているケアマネは多いです。
居宅ケアマネには、このように「365日電話がかかってくる可能性がある」ということを知っておいてください。もちろん、利用者や家族の人と直接のやり取りをせずに事業所を介してのみの連絡だけにしておけば、そうした苦労をすることはなくなります。
今回述べたように、居宅支援事業所にケアマネが転職することで、「家族とコミュニケーションを取りやすい」「スキルアップにつながりやすい」というメリットがあります。その一方で、「家族とのコミュニケーションが上手くいない」「休日でも電話がかかってくる」ということに苦労しているケアマネもいます。
もしあなたが居宅介護支援事業所へての転職を考えている際には、このような両面を理解しておくことで、転職で失敗しにくくなります。
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