精神保健福祉士が公務員へ転職する方法:介護求人・転職
精神保健福祉士の中には、公務員として働いている人も存在します。当然、公務員として勤めれば、デイサービスやデイケア、障がい者就労継続支援事業所などと比較すると高待遇を受けることができます。
ただ、精神保健福祉士が公務員へ転職する方法は限られているため、実際に公務員として働いている人は少ないのが現状です。そうはいっても、公務員になれる可能性はゼロではありません。
そして、精神保健福祉士として公務員を目指す場合には、公務員へ転職する方法を知っておくことが大切です。
そこで今回は「精神保健福祉士が公務員へ転職する方法」について解説します。
公務員として働くためには
精神保健福祉士が公務員として働くことができる職場は限られています。公務員として転職したい場合には、まずは公務員として勤めることができる職場について理解しておくことが大切です。
保健所、精神保健福祉センター
保健所や精神保健福祉センターでは、精神保健福祉士は主に「精神保健福祉相談員」という職名で働いています。精神障害者やその家族からの相談を受けて、それに対する援助を行うのが精神保健福祉相談員の仕事です。
例えば、精神障害者の家族に対して、対象者への接し方をアドバイスしたり、利用できるサービスを紹介したりします。そうすることで、対象者の症状悪化防止や社会復帰につなげるのです。
また、精神保健福祉に関わる専門家に対する教育(人材育成)や、地域における精神保健福祉の認知度を高める(精神障害者に対する偏見をなくす)ような広報活動も行っています。
その他にも、精神障害をもつ人たちが集まるサロンや精神障害者の家族が集まる家族会などの場を作ることも、精神保健福祉相談員の仕事です。
さらに、保健所で働く精神保健福祉士の中には「護送業務」に関わっている人もいます。護送業務とは「措置入院」が必要になった人を警察や病院から措置入院施設へ送り出す仕事です。
あるところでは、護送業務が月間平均16回あり、特殊勤務手当(護送業務手当)として1回3200円支給されるようです。もちろん、勤務する市によって護送手当の額は大きく変わります(1回当たり数百円であるところも多い)。
このように、一言で保健所や精神保健福祉センターといっても、業務内容は多岐にわたります。
公立の病院、障害福祉施設
公立の精神科病院や障害者福祉施設などに転職すれば、公務員として働くことができます。
病院や障害者福祉施設における精神保健福祉士の役割は、公立でも民間でも同じです。
例えば、精神科病院であれば、患者さんの家族からの相談対応や退院支援などが主な業務となります。また、病院にデイケアなどを併設している場合には、デイケアにおけるリハビリプログラムなどを立案・実施する場合もあります。
障害者福祉施設においても、利用者さんやその家族の相談対応、作業活動の補助、就労支援、生活支援といったことが主な業務内容となります。
たとえ公立の病院や施設であっても、基本的に民間の病院や施設と求められる役割は変わらないと考えて良いでしょう。
市役所
市役所には、精神障害者の福祉に関する相談・援助の窓口が設置されています。市によって名前は異なりますが「障害者相談窓口」や「障害者福祉窓口」といった窓口です。
精神保健福祉士として市役所で勤める場合には、こうした相談窓口での相談対応業務が主となります。
例えば、精神障害者の家族から生活に関する相談を受けることもあれば、精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療の手続きに関する申請を受けることもあります。
さらに、地域に向けた障害福祉サービスの企画・実行、地域住民への啓蒙活動などの取り組みなどを実施している市町村もあるのです。そのため、市役所では相談窓口での相談対応業務が基本となりますが、働く地域によってさまざまな仕事を任せられる可能性があります。
保護観察所
保護観察所には、「社会復帰調整官」の配置が義務付けられています。社会復帰調整官とは、犯罪を犯した精神障害者が社会復帰することをサポートする職種であり、国家公務員です。そして、精神保健福祉士は社会復帰調整官として働くことができます。
具体的には、精神保健福祉士の資格を有していることに加えて、大学卒業以上の学歴を有しており、精神保健福祉に関する業務に8年以上経験していれば、社会復帰調整官採用試験を受けることができます。
社会復帰調整官の主な仕事内容は、対象者における生活環境の調査・調整、精神保健観察などです。例えば、退院して生活できるような場所を選んだり、問題が起こりにくいように環境面を調整したりします。
精神保健福祉士が公務員になるメリット
ここまで述べたように、一言で精神保健福祉士が公務員になるといっても、求められる役割や実際の業務内容はそれぞれです。
ただ、精神保健福祉士が公務員として働くことには、さまざまなメリットがあります。
給料が良い
精神保健福祉士は国家資格ではあるものの、決して高い収入を得られるわけではありません。
例えば、障害者施設やデイサービスなどで働く精神保健福祉士の中には、月の手取り額が20万円を下回る人は多いです。また、待遇が良い傾向にある精神科病院などに勤めている人でも、手取り額は20~25万円になります。
公務員として働くことができれば、当然ながら公務員の待遇を受けることができます。もちろん、公務員でも最初は給料が安いですが、長く勤めるほど収入は高くなります。また、賞与(ボーナス)や退職金なども、一般的な病院や施設などよりも多いです。
このように、給料が良いことは、精神保健福祉士が公務員へ転職するメリットだといえます。
休日が多い
公務員になると、病院や施設などと比べると年間の休日数が多くなります。
病院や施設における休日は、その職場によって大きく異なるのが現状です。例えば、完全週休2日制のところもあれば、4週8休制のところもあります。また、日祝日が休みの場合もあれば、日祝日は出勤しなければいけないような職場も存在するのです。
それに対して公務員は、基本的に土日祝日が休みになります。もちろん、職場によってはあまり休めないような状況にあるところも存在します。ただ、精神保健福祉士が公務員として勤める職場のほとんどは、しっかりと休日を取ることができます。
このように、休みが多く安定していることは精神保健福祉士が公務員として働くメリットです。
資格を生かせる
精神保健福祉士が転職する際には「資格不要」という求人に応募することも少なくありません。
例えば、精神科病院などであれば、精神保健福祉士の資格者を配属することで加算される診療報酬があります。そのため、資格所有者が優遇される傾向にあります。
その一方で、デイサービスの生活相談員や「障害者就労継続支援事業所」などでは、特に精神保健福祉士の資格の有無は問われません。確かに、精神保健福祉士としての知識を有していれば、業務自体に生かすことは可能です。
ただ、生活相談員や障害者就労継続支援事業所で働くために精神保健福祉士の資格を持っている必要はなく「無資格」でも良いのです。
精神保健福祉士の中には、こうした資格が無くても働くことができる職場に勤めている人も少なくありません。そして、そうした職場で働く人には、精神保健福祉士としての役割や立ち位置を確立できずに、資格を生かしきれていない人が多いのです。
それに対して、精神保健福祉士として公務員となれば、役割や立ち位置が明確となります。
既に述べたように、社会復帰調整官として働くためには、精神保健福祉士の資格が必要です(作業療法士や看護師などでも可)。また、精神保健福祉相談員の条件にも、精神保健福祉士の資格所有が定められています。
このように、精神保健福祉士の資格が生かせることは、公務員として働くメリットだといえます。
精神保健福祉士が公務員へ転職する際の注意点
ここまで述べたように、精神保健福祉士が公務員として転職することには、さまざまなメリットがあります。ただ、精神保健福祉士が公務員へ転職する際には、いくつか注意しなければいけないことがあります。
採用枠が限られている
精神保健福祉士の公務員求人はかなり数が少ないです。当然ながら、保健所や精神保健福祉センター、市役所などに必要な精神保健福祉士の数は限られています。考えてみるとわかると思いますが、保健所や精神保健福祉センターに何十人もの精神保健福祉士は必要ありません。
しかも、公務員として働いている人には、定年退職となるまで辞めない人が多いです。
そのため、精神保健福祉士の公務員採用枠は、かなり数が限られているのが現状です。つまり、タイミングや運が良くなければ、精神保健福祉士としての公務員求人は見つからないといえます。
精神保健福祉士として公務員へ転職する場合には、まずは求人が見つかりにくいという問題にぶつかるはずです。
経験者が優遇される
また、公務員の精神保健福祉士として働く場合には、経験者が優遇されます。
例えば、社会復帰調整官などは、8年以上の実務経験が必須になります。そして、その他の職場における公務員求人においても、基本的には「実務経験○○年以上」という経験年数が要件となっている場合が多いです。
そのため、精神保健福祉士として公務員になりたい人は、募集要項に書かれている経験年数に注意しなければいけません。
年齢制限や試験は厳しくない
一般的に公務員へ転職する場合には、年齢制限や一般教養試験の難しさなどで悩む人が多いです。
例えば、「受験資格が28歳以下であるため、今年中に受からなければ公務員へは転職できない」という人は少なくありません。また、働きながら一般教養試験の勉強をしなければいけないことに苦労している人も多いです。
その一方で精神保健福祉士の場合は、年齢制限は厳しくありません。多くの場合、35歳や40歳までは受験することができます。そして試験に関しても、行政職と比較すると簡単である自治体がほとんどです。
このように、精神保健福祉士の公務員採用枠は、数が限られている上に経験者が優遇されます。ただ、年齢制限や試験は厳しくないということを知っておいてください。
今回述べたように、精神保健福祉士が公務員として働くためには、さまざまな職場があります。そうはいっても、それぞれの職場における精神保健福祉士の必要数は多くないため、求人は非常に少ないのが現状です。
しかし、もし公務員として働くことができれば、病院や施設などに比べると高待遇を受けることができるようになります。
今の職場の待遇に不満がある人は、公務員への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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