介護職である管理人の転職体験記
介護職としては、無資格の介護士から介護福祉士、ケアマネージャー、社会福祉士など、さまざまな職種があります。そして、どのような職種であっても、転職を経験する人は多いです。
ただ、介護職者で転職を考えている人の中には「実際に転職するときは、転職までにどのような過程をたどるのか?」という不安を抱える人が少なくありません。
そこで、私が介護福祉士として転職した経験を記します。私が実際に転職したときの様子や失敗したこと、アドバイザーとのやり取りなどを詳細に伝えるため、あなたの転職活動の参考にしてください。
転職を考えるまで
私は、地元の進学校を卒業した後、大学へ進学する周りの人たちとは違い、介護の現場へ就職しました。これは、祖母がお世話になった訪問介護のヘルパーさんの影響を受けたためです。
学校の先生からは「介護の現場で働くにしても、大学へ進学して社会福祉士などの資格を取ってからが良いのではないか?」と提案されました。ただ、私はできるだけ早く介護の現場で仕事がしたかったため、無資格のまま介護士としてデイサービスへ就職しました。
そして、デイサービスで実務経験を積んで「介護福祉士」の資格を取得したのです。ただ、最初に就職したデイサービスには、さまざまな問題がありました。
経営者本位のデイサービス
私が最初に就職したのは、整形外科のクリニックを運営している医療法人を母体としているデイサービスでした。その法人は、クリニックと通所リハビリ(デイケア)、デイサービスという3つの事業所から成り立っていました。
全ての施設に理学療法士(PT)と作業療法士(OT)を配置しており、リハビリに力を入れているような組織でした。
私がデイサービスへ就職したのも「理学療法士などのリハビリ専門職者から介護技術を学びたい」と考えたためです。実際に、デイサービスに勤めている理学療法士には、専門的な視点から、さまざまなことを指導してもらうことができました。
ただ、私はそのデイサービスに対して不満を抱えていました。その主な原因は「全てが経営者本位である」ということです。
例えば、デイサービスの職員はサービス残業を行うことが当たり前でした。デイサービスでは、日々のレクリエーションはもちろんのこと、季節に応じたイベントも実施されるため、スタッフは常に準備に追われています。
その経営者は、そうした現状を知りながら「労働基準の問題があるから残業はしないように」と常に言っていました。
もちろん、残業をしなくても大丈夫なような人員を配置しているのであれば、経営者が言っていることも理解できます。しかし実際には、そのデイサービスは明らかな人員不足状態であり、残業しなければ仕事が終わらないような状況だったのです。
そして、どれだけ経営者に掛け合っても、スタッフを増やしてくれませんでした。
結局、私たちは「就業時間になったらタイムカードを押して、その後に残業する」というように、いわゆるサービス残業を行うことになりました。
経営者として、事業の運営にかかる経費を削減することは当然です。特にデイサービスは、介護保険の下で運営されているため、利益の上限が限られています。そのため、できるだけ経費がかからないように工夫しなければ、経営が成り立たなくなってしまいます。
ただ、デイサービスを運営していく上で適切な人員を配置することは、利用者に対するサービスの質を維持するためにも必要不可欠なことです。
このように、「経費(人件費)を削減するため」ということばかりを考えている経営者に対して、私は常に不満を抱えていました。残業することが嫌なのではなく、こうした経営者の思考に嫌悪感を抱いていたのです。
結婚
そうはいっても、リハビリの専門である理学療法士から、さまざまな医療・介護に関する知識を教えてもらえる環境は貴重なものでした。そのため、私は経営者に対する不満を抱えながらも、そのデイサービスで働き続けました。
また、当然ながらそのデイサービスにおける給料は低かったです。具体的には、私が介護福祉士の資格を取得した翌年の年収は約230万円でした。介護福祉士の平均年収が300万円前後であることを考えると、非常に安い年収だったといえます。
ただ、幸い私は結婚もしておらず実家に住まわせてもらっていたため、このときには給料の低さに悩むことは、ほとんどありませんでした。むしろ、さまざまなことを学べる職場環境に感謝していました。
しかし、その職場で約7年働いた年に「結婚」という転機が訪れます。そして結婚を機に、今まで住んでいた実家を出て妻との2人暮らしが始まりました。
一緒に生活し始めても、妻との仲は良く、結婚生活は何の問題もなく進んでいました。ただ、子どもができたときや、自分たちの老後などの将来について話をするたびに、常にお金のことが話題に挙がるようになりました。どう考えても、今の収入では安定した生活をイメージすることができなかったのです。
まだ今は子どもがいないため、妻と2馬力で働くことができており、何とか生活も成り立っていました。
しかし、妻が妊娠して子育てをするようになり私ひとりの収入になると、どれだけ節約しても生活できないような状況だったのです。さらに、当然ながら子どもが将来大学に通ったりする援助をできる見込みもなく、自分たちの老後への蓄えもほとんどできないような状態でした。
転職を本気で考える
このように、結婚というタイミングで、私は転職を考えるようになりました。
ただそうはいっても、現状では子どももおらず問題なく生活できていたため、あまり転職については真剣に考えていませんでした。また、理学療法士の人から知識や技術を教えてもらえる環境はありがたく「すぐに転職」ということは頭にありませんでした。
しかし、また転機はすぐに訪れます。結婚して約3ヶ月が経ったあるとき、妻が妊娠したのです。
さらに、妻はつわりが酷い上に「切迫早産」であったため、妻の体調を考慮して、妊娠後すぐに職場を退職しました。そして、妻は出産まで実家で生活することになりました。
こうなると、想像していた私ひとりの収入による生活が現実のものとなりました。まだ、妻が実家にお世話になっている間は、私だけの生活でしたので問題なかったのですが、出産が終わり妻と子どもが帰ってくるとそうはいきません。
妻の妊娠期間中に、このように今後のことを考えていると、どんどん不安が強くなってきました。そして、このときにはじめて転職について本気で考えるようになったのです。
転職サイトを活用した転職の実際
ただ、転職するといっても、私は今まで転職の経験がありません。そのため、具体的に「どのように転職活動をすれば良いのか」が全くわかっていない状況でした。
そこで、インターネットで求人情報を検索したり、ハローワークに通ったりして転職先を探し始めました。
自力での転職活動で苦労する
転職を始めた最初は、自分自身で求人を検索していました。具体的には、インターネット上にある求人サイトやハローワークを使って、収入面の条件を満たしている求人を中心に探しました。
今後の生活を考えると、最低でも年収が350万円を超えるような求人が希望でした。
ただ、介護福祉士で年収が350万円以上の求人はほとんどなく、見つかってもサービス管理責任者などの募集でした。いくら給料を求めているとはいっても、自分に管理者が向いていないことはわかっていましたし、あまりに仕事が忙しくなって家族との時間がなくなっては本末転倒です。
そのため、私は「年収が350万円以上」に加えて「年間休日数110日以上」「1ヶ月の残業10時間未満」という条件で求人を探しました。
しかし、やはりそうした好条件の求人はなかなか見つからず、空き時間にスマホを見て求人を探すような日々が約2ヶ月過ぎても、全く転職活動は進んでいませんでした。このときには、妻のお腹も大きくなり「自分が父親になるのだ」という実感が沸いてきたと同時に「早く転職先を見つけなければ……」という焦りも強くなりました。
転職サイトの存在を知る
このように、なかなか良い転職先が見つからない状況に悩んでいたときに、地元の友人に相談すると「介護職で転職して経験がある知人を知っている」ということだったので、早速紹介してもらいました。
その人は、同じ介護福祉士の資格を持っており、現在は通所リハビリの事業所に勤めている30代の男性でした。私と同じように、結婚や妻の出産を機に転職を考えて、希望通りの職場(現職場)への転職して、充実した毎日を過ごしているとのことでした。
そこで私は、その人に現状を話すと「転職を成功させるポイントは一人っきりで転職活動を行わないことである」ということと「好条件の求人を狙っているのであれば、求人サイトやハローワークではなく介護職専門の転職サイトを活用すべきだ」というアドバイスもいただきました。
転職サイトとは、完全に無料で利用できる転職支援サービスです。登録すると、担当のアドバイザーが付いて転職活動全般をサポートしてくれます。
具体的には、あなたの希望に合った求人情報の探索・紹介から、履歴書、面接対策といったアドバイスまで、転職に関わる全ての活動を支援してもらえます。さらに、転職サイトには「非公開求人」と呼ばれる、求人サイトやハローワークには掲載されていないような求人を多く抱えています。
そして、好条件の求人のほとんどは、こうした非公開求人として転職サイトを持っています。そのため「高収入」や「土日祝日休」「残業なし」といったような好条件の転職先を効率よく見つけるためには、転職サイトの活用が有効です。
また「転職サイトを利用するときには、1社だけでなく2~3社を平行して活用した方が良い」ということも教えてもらいました。
一言で転職サイトといっても、それぞれの会社によって特徴が異なるため、数社で比較検討した方が自分に合った求人が見つかりやすくなります。さらに、アドバイザー同士で競わせることで、より多くの求人を紹介してもらえるようになるということです。
こうして転職サイトの存在を教えてもらった私は、さっそく数ある介護専門の転職サイトの中から、自分の希望を叶えてくれそうな転職サイトを3つ選んで登録しました。
転職サイトを使った転職
転職サイトへの登録は、3社全てにおいて簡単でした。
そして、全転職サイトにおいて、登録後はヒアリングの日程調整が行われました。ヒアリングとは、転職希望者の要望をアドバイザーが聴取することです。アドバイザーは、ヒアリングによって得た情報を元に求職者に合った求人を探します。
そのため、転職サイトを利用した転職では、アドバイザーから行われる最初のヒアリングが非常に重要になります。
例えば、メールだけで簡単に要望を伝えたり、遠慮して本心を言わなかったりすると、良い求人先を紹介してもらえる可能性は低くなります。できれば、直接アドバイザーと会って面談を行った方が好ましいです。もし直接面談が不可能であれば、必ず電話でのヒアリングを行うようにしましょう。
実際に、私が登録した転職サイトのうち、1社は直接面談ができましたが、2社は電話によるヒアリングのみでした。
直接面談は、私の自宅に近い転職支援会社の事務所(オフィス)で実施されました。転職サイトによっては、カフェなどでの面談を行う人もいるようですが、私の場合は会社の面談室で行われました。
服装は、事前に問い合わせたときに「ラフな格好で来てください」といわれたので「無地のシャツにベージュのチノパン」で面談を受けました。
アドバイザーは40代の男性であり、私と同じ介護福祉士の資格を持っている人でした。そして、面談では以下のようなことを聞かれました。
・今まで実際に経験してきた仕事内容
・転職では何を一番重視しているか?
・スキル、強み(自己PR)
・希望するサービス形態
・希望する年収額
・現在の転職活動状況
・他に転職エージェントを使っているか?
雑談も交えながら1時間程度話をした後、事務所を後にしました。アドバイザーと直接面談を行うことで、自分の転職に対する考え方などがまとまった感じがして、とてもスッキリしたのを覚えています。
他の2社に関しても、聞かれた内容は似たようなものでしたが、個人的には電話でのヒアリングよりも直接会って話をした方が良かったです。これから転職先を紹介してもらうだけでなく、さまざまな悩みを聞いてもらうであろうアドバイザーの顔を見れたことは、アドバイザーに対する信頼も生むことになりました。
そして、実際にその後に求人をすぐに紹介してくれたのも、直接面談をしたアドバイザーでした。
そのときは、私の希望に合った求人を3つ紹介してくれましたが、そのうちの2つは夜勤がある職場であったため断りました。残りの1つは、大手企業が運営しているデイサービスであり、給料面、休日面、残業面で、全て私の希望を満たしていたため施設見学を依頼しました。
施設見学の日程調整は、全てアドバイザーが行ってくれて、見学当日も同行してくれました。私にとって施設見学ははじめての経験であったため、こうしたサービスは非常に助かりました。
施設見学は、求人を紹介してもらってから2週間後の、平日昼過ぎから1時間程度で実施されました。
最初は待合室に通されて、私とアドバイザー施設管理者の3人で話をしました。このときは「どのような交通手段で来られたのですか?」「最近は寒いですね」などの雑談が主でした。
そして、その後は施設の中を一緒に見学させてもらいました。そのデイサービスは、主にリハビリを目的とした利用者が通われており、理学療法士が3名、作業療法士が2名在中していました。このことは、私がこのデイサービスに魅力を感じた点です。
施設内には、理学療法士や作業療法士が施術で利用するベッドが6台と、利用者がトレーニングをするための運動器具がきれいに並べられていました。私が見学していると、スタッフだけでなく、ほとんどの利用者からも笑顔で挨拶されて、とても良い雰囲気だと感じたのを覚えています。
一通り施設内を見学させてもらった後は、面談室に通されて、再び私とアドバイザー、施設管理者の3人で話をしました。
このときは「なぜ当デイサービスを見学しようと思ったのか?」「介護に対してどのような思いがあるのか?」「もし就職をするとなると希望する条件はあるのか?」といったことを聞かれました。
条件面の話が出たときには少し遠慮してしまいましたが、アドバイザーがしっかりと私の希望を伝えてくれました。
そして、一通り話が終わった後に、施設管理者から「もし就職を希望されるのであれば履歴書を送ってください。その後に面談の日程を決めましょう」と言われて施設見学は終了しました。
こうして、はじめての施設見学は無事に終わりました。施設見学を行って「非常に良い雰囲気の職場であった」「理学療法士も多く在籍しており、魅力的であった」「アドバイザーが居てくれたおかげで希望も伝えることができて良かった」といったことを感じました。
私は、施設見学の帰り際にアドバイザーに対して「見学したデイサービスの採用選考を受けたい」という意思を伝えました。
そして、履歴書や職務経歴書、面談などに関しても、アドバイザーからさまざまなアドバイスをもらえました。そのおかげで、スムーズに採用選考を通ることができ、無事に希望する条件を満たした転職先へ就職することができたのです。
こうして、今では私一人の稼ぎで妻と子どもを養うことができる上に残業も少なく休みも充実した職場で、家族とも十分な時間を過ごすことができています。
転職活動で学んだこと
私は、最初に一人で転職活動を行って上手くいかず、さまざまなことを学びました。今は、多くの介護職者に転職の相談を受ける立場にありますが、転職で失敗するほとんどの人は、私がはじめに犯した失敗と共通の問題を抱えています。
そのため、私の経験を共有することで、たくさんの介護職者の転職に役立つと考えて、このようなサイトを立ち上げています。
私が最初の失敗で学んだことは、以下の通りです。
・転職は人生を大きく左右することになるため慎重に行う
・転職を成功させるためには、成功するためのノウハウを学ぶことが大切である
・転職活動を一人で行ってはいけない
・好条件の求人は、ハローワークや求人サイトでは見つかりにくい
・転職のプロであるアドバイザーを活用する
転職する際には、以上の5点に注意すれば、失敗する可能性は低くなるはずです。特に、一人で悩んで転職先を決めることは、転職活動がスムーズに進まないだけでなく、転職後のミスマッチにつながる可能性が高いため避けるようにしましょう。
私の経験が、あなたの転職の手助けになれば幸いです。そして、転職のプロであるキャリアアドバイザーを上手く活用して、あなたの希望に合った職場への転職を成功させてください。
→ 転職サイトを有効活用するには
介護関連職者が転職を行うときは、転職をサポートしてくれる転職サイトを有効に活用することであなたに適した求人と出会うことができるようになります。
自分ひとりで求人の探索を行っても、数ある求人情報から自分に合った求人を見つけることは難しいです。また、どれだけ頑張っても2~3社へのアプローチが限界です。さらに、給料面や休日などの労働条件を交渉することは現実的ではありません。
転職サイトに登録して専門のコンサルタントに依頼すれば、100社ほどの求人からあなたに最適の条件を選択できるだけでなく、病院や施設、企業との条件交渉まで全て行ってくれます。
ただ、当然ながら転職サイトによって対応やサービス内容は異なります。例えば、電話だけの面接で済ませる会社があれば、必ず直接会って面接するところもあります。また、地方の求人に強い会社があれば、都心部の求人を多く抱えている会社もあります。
転職サイトを活用する際には、こうしたそれぞれの転職サイトの特徴を理解しておくことが大切です。以下のページで介護職者におススメの転職サイトにおける特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを学んだ上で利用することで、転職での失敗を防ぐことができます。
注目の人気記事
管理人による転職体験記
介護士として、私が実際に転職サイトを使って転職した経験について記しています。求人探索で苦労した経験や、面接で失敗したことから、転職の際に大切だと感じたことなどを詳細に述べています。
転職サイトを有効活用する方法
転職サイトを活用することは、転職で成功するために有効な手段です。ただ、転職サイトは使い方を間違えると、転職で失敗することにつながります。そのため、転職サイトの有効な活用方法を理解しておくことが大切です。
おススメの転職サイトの特徴と比較
転職サイトを活用する際には、それぞれの転職サイトにおける特徴を理解した上で、あなた自身に適した転職サイトを利用することが大切です。介護職者に特化した転職サイトを比較・検討した上で、登録する転職サイトを決めましょう。
派遣の介護職求人を探す
派遣として介護職で働く
介護職者が派遣として転職したい場合には、派遣に特化した転職サイトの活用をおススメします。派遣に特化した転職サイトに登録することで、多くの派遣求人を紹介してもらえるだけでなく、派遣ゆえに起こりやすいトラブルもスムーズに解消することができます。