【2026年版】介護士の給料は今後引き上げられるのか?給料が安い理由と処遇改善の最新状況

介護士給料今後

結論からお伝えすると、介護士の給料は、引き上げに向けた制度が進んでいます(ただし、事業所によって反映のされ方は異なります)。2026年6月に令和8年度の介護報酬改定(プラス2.03%)が施行され、処遇改善加算を通じて、介護従事者に月1万円相当、条件を満たす事業所の介護職員には最大で月1.9万円(定期昇給込み)の賃上げを実現する措置が始まりました(2026年10月時点、厚生労働省の資料より)。

一方で、介護士の平均的な給料は、全産業の平均と比べるとまだ差がある水準にあります。「なぜ安いのか」「これから上がるのか」「自分は何をすればよいのか」という疑問に、2026年10月時点の公式情報をもとにお答えします。

  • 介護士の給料が安いと言われる理由は、収入の大半を公定価格の「介護報酬」に頼る仕組みにあります
  • 2024年度と2026年度の2回続けて処遇改善が行われ、給料は上向きの流れです
  • 加算の配分は事業所ごとに異なるため、転職では「処遇改善加算の取得状況と配分」の確認が大切です
目次

介護士の給料はどのくらい?全産業との差

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(令和7年=2025年)では、介護職員の賞与込み給与は月額31.4万円でした。全産業平均(役職者を除く)は39.6万円で、差はまだ約8万円あります。ただし、前年(令和6年)の30.3万円から1.1万円増えており、差は少しずつ縮まっています。

介護職員全産業平均(役職者を除く)
令和6年(2024年)30.3万円38.6万円
令和7年(2025年)31.4万円39.6万円

※賞与込み給与は、調査年6月分の給与に、前年1月から12月分の賞与の12分の1を加えた額です。年齢や勤続年数、地域、施設の種類によって個人の給料は変わるため、あくまで目安として見てください。出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査による介護職員の賃金について」(令和7年調査)。

この差には、介護職員は全産業と比べて勤続年数が短い傾向があることも影響しているとされています。経験を積み、資格を取っていくことで、給料を上げていく余地は十分にあります。

介護士の給料が安い理由

介護士の給料が安いと言われる大きな理由は、介護事業所の主な収入が介護報酬で決まっているためです。順に見ていきましょう。

介護報酬は公定価格

介護報酬は、国が「このサービスは1回あたり○○円」と決める「公定価格」です。例えば、要介護度ごと、サービスの種類ごとに単価が決まっており、事業所が自由に値上げをして収入を増やすことはできません。また、1つの事業所が受け入れられる利用者の数にも上限があります。

飲食店のように、お店の判断で価格を変えられるビジネスとは違い、介護事業所は収入の上限が決まっています。そのため、人件費に回せる金額にも限りがあるのです。

医療と比べて報酬が低く抑えられてきた背景

介護保険制度は、高齢者が増えて医療費が膨らむ中、医療とは別に介護を支える仕組みとして2000年にスタートしました。財源には限りがあるため、介護報酬は国の財政状況を踏まえて決められてきた経緯があります。

介護報酬の改定は、下がる年も上がる年もあった

介護報酬は原則3年に一度見直されます。かつては引き下げが続いた時期もありましたが、介護職員の処遇改善を目的に、近年はプラス改定が続いています。厚生労働省の資料から主な改定率をまとめました。

時期改定率主なポイント
2003年度マイナス2.3%自立支援の観点でケアマネジメントなどを見直し
2006年度マイナス0.5%(2005年10月改定分を含めるとマイナス2.4%)中重度者への支援強化、介護予防の推進
2009年度プラス3.0%介護従事者の人材確保・処遇改善
2012年度プラス1.2%処遇改善交付金を介護報酬に組み込み
2015年度マイナス2.27%介護人材確保対策(月1.2万円相当)を含む
2017年度プラス1.14%処遇改善(月1万円相当)
2018年度プラス0.54%多様な人材の確保と生産性向上
2019年10月プラス2.13%処遇改善(特定処遇改善加算の創設)と消費税対応
2021年度プラス0.70%自立支援・重度化防止、人材確保
2022年10月プラス1.13%処遇改善(月9千円相当)
2024年度プラス1.59%処遇改善の加算を一本化し、加算率を引き上げ
2026年6月(令和8年度改定)プラス2.03%介護従事者の賃上げ(月1万円相当、最大月1.9万円)

出典:厚生労働省老健局「令和8年度介護報酬改定について」(社会保障審議会介護給付費分科会 資料、2025年12月)。

このように、2003年度から2015年度にかけては引き下げの年もありましたが、2017年度以降はプラス改定が続いています。「介護報酬は下がり続けている」という見方は、現在はあてはまりません。

介護士の給料は今後引き上げられるのか?

それでは、これから給料はどうなるのでしょうか。2026年10月時点の制度の状況を、公式の資料に沿って確認します。

2026年6月の介護報酬改定で何が変わった?

厚生労働省の資料によると、令和8年度(2026年度)の介護報酬改定が、令和8年(2026年)6月に施行されました。改定率はプラス2.03%で、そのうち介護分野の職員の処遇改善分がプラス1.95%(令和8年6月施行)、食費の基準費用額の引上げ分がプラス0.09%(令和8年8月施行)です。

  • 介護従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置
  • 生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員には、月0.7万円(2.4%)の上乗せ措置
  • 合わせて、介護職員について最大月1.9万円(6.3%)の賃上げ(定期昇給0.2万円込み)が実現する措置
  • 処遇改善加算の対象が、介護職員のみから介護従事者に拡大
  • 加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援などにも、新たに処遇改善加算を設置

出典:厚生労働省老健局「令和8年度予算に関する『大臣折衝事項』について(報告)」(社会保障審議会介護給付費分科会 資料、2025年12月26日)。

「最大月1.9万円」は、上乗せ区分の要件を満たした事業所で働く介護職員が対象です。すべての人が一律に月1.9万円増えるわけではない点には、注意が必要です。

処遇改善加算とは

処遇改善加算は、介護職員の給与を上げるために、介護報酬に上乗せされる仕組みです。2009年度の「介護職員処遇改善交付金」が始まりで、2012年度に介護報酬の加算へ組み込まれました。その後、複数の加算に分かれていたものが、2024年6月に「介護職員等処遇改善加算」へ一本化され、加算率も引き上げられました。

事業所は、この加算で得た分を、職員の賃金改善に充てることが求められています。そのため、同じ仕事内容でも、加算をしっかり取得して職員に配分している事業所では、給料に差が出ることがあります。

これからの見通し

厚生労働省の資料では、令和9年度(2027年度)の介護報酬改定に向けて、「介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保を図る必要がある」との認識のもと、事業者の経営状況を把握したうえで、物価や賃金の上昇を適切に反映する対応を行うとされています。あわせて、介護保険制度の持続可能性を確保するため、介護給付の効率化・適正化にも取り組むとされています。

つまり、国としては賃上げの方向性を示していますが、財源には限りがあり、今後の改定内容は検討の途中です。確かなことは言えないため、最新の情報はこの記事の更新やお勤め先の説明で確認してください。

介護の需要は増え続ける見込み

内閣府の「令和8年版高齢社会白書」によると、令和7年(2025年)10月1日時点の65歳以上人口は3,622万人で、高齢化率は29.4%です。65歳以上人口は令和25年(2043年)に3,953万人でピークを迎えると推計されています。

また、厚生労働省が第9期介護保険事業計画をもとに集計した推計では、必要な介護職員数は2022年度の約215万人に対し、2026年度に約240万人、2040年度に約272万人とされています(2024年7月公表)。介護の担い手は今後も求められ続けるため、介護の担い手へのニーズは続くと見込まれます。

国や事業所の取り組みで給料が上がる仕組み

介護報酬の引き上げと、財源の問題

介護報酬の財源は、利用者の負担分を除き、半分が公費(国・都道府県・市町村)、半分が40歳以上の方が支払う介護保険料でまかなわれています。報酬を引き上げれば、その分、税金や保険料の負担にも影響します。そのため、高齢化が進む中で、どこまで引き上げるかは国全体で議論が続くテーマです。

介護報酬以外の収入をつくる事業所もある

介護報酬だけに頼らず、介護保険外のサービスで収入を増やす事業所もあります。例えば、一般の方向けの配食・弁当販売、有料の介護相談、他の事業所向けの研修などです。こうした取り組みが成功すれば、事業所に余裕が生まれ、職員の給料に反映されることも期待できます。

生産性向上に取り組む事業所には上乗せがある

2026年6月からの新しい加算では、生産性向上や協働化に取り組む事業者に対して上乗せの区分が設けられました。ICT機器の導入などで業務を効率化している事業所は、この上乗せ区分の対象になる場合があります。働き先を選ぶ際は、こうした取り組みをしているかどうかも、見るポイントの1つになります。

給料を上げるためにあなたができること

国や事業所の動きを待つだけでなく、あなた自身ができることもあります。主な3つの方法を紹介します。

介護資格の取得

持っている資格に応じて「資格手当」を支給している事業所があります。「介護福祉士」「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「社会福祉士」などは、手当の対象になりやすい代表的な資格です。手当の有無や金額は事業所ごとに異なるため、求人票や面接で確認しましょう。

また、資格を取って経験を積むと、処遇改善加算の配分でも評価されやすくなる事業所があります。それぞれの資格の役割や仕事内容、待遇を理解したうえで、自分に合う資格を選ぶことが大切です。

介護士のキャリアアップに役立つ資格に関する情報はこちら

職場での新しい提案

介護保険外のサービスや、業務を効率化する工夫を提案し、実行して成果を出すことも、評価につながる方法です。事業内容は大きなものでなくて構いません。「時間外の運動指導」「家族向けの介護相談」など、小さな取り組みから始められます。

待遇の良い職場へ転職する

同じ介護の仕事でも、事業所によって給料の水準や賞与、手当は異なります。処遇改善加算を取得し、職員にしっかり配分している職場へ転職できれば、給料が上がる可能性があります。「管理職候補の募集」「新規オープンに伴うスタッフ募集」などは、条件を確認しやすい求人のひとつです。

転職を考える際は、求人票や面接で次の点を確認してみてください。

  • 介護職員等処遇改善加算を取得しているか(取得している区分も)
  • 加算で得た分を、基本給や手当にどのように反映しているか(月給に含まれるのか、別の手当なのか)
  • 資格手当、夜勤手当、賞与の有無と金額の目安
  • 昇給の仕組み(年1回の昇給や、キャリアパスの要件など)
  • ICT機器の導入など、働きやすさや生産性向上への取り組み

よくある質問

Q. 2026年の介護報酬改定で、自分の給料は必ず月1万円上がりますか?

一律に上がるとは言えません。月1万円相当という数字は、国が加算を通じて実現を目指す賃上げの水準です。実際の金額は、事業所の加算の取得状況や配分の方法によって変わります。ご自身の給与明細の変化や、勤務先の説明で確認してみてください。

Q. 介護士の給料は、他の仕事に比べてどれくらい低いのですか?

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、介護職員の賞与込み給与は月額31.4万円、全産業平均(役職者を除く)は39.6万円でした。差は約8万円ですが、前年から縮まる傾向にあります。

Q. 無資格・未経験でも給料は上がりますか?

無資格・未経験で始めても、経験を積み、「介護職員初任者研修」や「介護福祉士」などの資格を取ることで、手当や基本給が上がる職場もあります。まずは研修制度や資格取得支援のある職場を選ぶと、無理なくステップアップしやすくなります。

Q. 今の職場の給料が低いと感じたら、転職したほうがよいですか?

まずは、処遇改善加算の取得状況や配分について、職場に確認してみてください。そのうえで、他の職場と条件を比べてみると、判断しやすくなります。

まとめ

介護士の給料が安い背景には、公定価格である介護報酬に収入の大半を頼る仕組みがあります。しかし、2024年度、2026年度と続けて処遇改善が行われ、給料を引き上げる流れが続いています。全産業との差はまだありますが、少しずつ縮まっています。

国の制度に加えて、資格の取得や、処遇改善にしっかり取り組む職場選びなど、あなた自身が動くことで、給料を上げられる可能性は広がります。将来に不安がある方も、悲観的に考えすぎず、まずは情報を集めるところから始めてみてください。

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