短時間デイサービス・ケアへの転職で介護福祉士が注意すること
介護福祉士の転職先として、短時間のデイサービスやデイケアがあります。短時間のデイサービスやデイケアとは、リハビリを主な目的とした方が利用する施設であり、半日(約3時間)のサービスになります。
そうしたリハビリを主とした職場では、1日滞在するようなデイサービス・ケアとは利用者もサービス内容も異なります。
短時間のデイサービス・ケアの利用者は、少しでも「体の機能を高めたい」「体を良くしたい」と考えている人が多く、リハビリに積極的に取り組まれています。また、実際に自立度が高い利用者がほとんどで、トイレなどの動作は自分でできることが前提である施設もあります。
このような短時間のデイサービス・ケアへ介護福祉士が転職する際には、そうした短時間デイサービス・ケア独特の特徴を理解しておく必要があります。そうしなければ、転職後に患者さんの対応に困ったり、あたふたしたりすることになります。
そこで今回は、「短時間デイサービス・ケアへの転職で介護福祉士が注意すること」について解説します。
短時間デイサービス・ケアの業務内容
短時間のデイサービス、デイケアは、利用者が1日利用されるようなデイサービスとは、業務内容が大きく異なります。
例えば、1日利用のデイサービスでは、比較的に介護度が高い人が多いです。また、サービスの内容も「運動中心」というよりも、レクリエーションなどがメインになっているところがほとんどです。
さらに、そうしたデイサービスは、「入浴」を目的に利用されている人も少なくありません。
このように、利用者が長時間滞在するデイサービスでは、介護福祉士はレクリエーションや入浴介助などの仕事が多くなります。
一方、短時間デイの場合、利用者の多くは運動機能改善を目的に通われています。そうしたことからも、施設で提供するサービス内容も、レクリエーションではなく、運動が中心になります。また、短時間のデイでは、入浴サービスを行っていないところがほとんどです。
そのため、短時間のデイにおける介護福祉士の業務内容は、運動指導などがメインになります。
例えば、短時間のデイでは、理学療法士などのリハビリ職者によるマンツーマンのリハビリはもちろんのこと、「パワーリハビリ」と呼ばれるような機械を用いた運動がよく行われます。そうした器具を使った運動は、介護福祉士などの介護職者が誘導、指導することになります。
その中で介護福祉士は、負荷を設定したり、運動方法を指導したりします。
このように、短時間のデイに勤める介護福祉士は、1日利用者が滞在するような施設とは違って、運動指導を行うことが業務の中心となります。
1日の流れ
介護福祉士が短時間のデイへ転職すると、運動指導を行うことが多くなります。また、そうした業務内容だけでなく、短時間のデイになるとタイムスケジュールも異なります。
以下に、短時間デイに勤務する介護福祉士におけるタイムスケジュールの例を記します。
8:20 朝礼
8:30 送迎、事務作業
9:10 バイタルチェック 体操
9:20 運動指導
11:30 整理体操
12:00 送迎
休憩
12:50 送迎
13:30 バイタルチェック 体操
13:50 運動指導
16:00 整理体操
16:30 送迎
17:00 掃除、事務作業
17:15 ミーティング
17:30 業務終了
基本的には、以上のようなタイムスケジュールで動くことになります。ただ、当然ながら施設によって若干の違いはあります。
また、午前と午後で利用者が入れ替わるため、1日2回の送迎が必要になります。そのため、送迎の時間帯などで昼休憩の時間帯が変わります。
例えば、ある職員は11時など、早めに休憩に入り、12時からの送迎に行きます。そして、そのまま午後の業務に移ります。その一方で、12時から休憩に入る職員もいます。そうした人たちは、休憩の後に午後からの業務になります。
このように、短時間のデイでは、送迎などの状況によって休憩時間が一定しないことが多いです。
短時間デイサービス・ケアで介護福祉士が注意すべきこと
介護福祉士が短時間デイサービス・デイケアに転職する際には、いくつか注意すべき点があります。そのことを理解しておくと、短時間デイサービス・ケアへ転職した後に失敗することが少なくなります。
運動などの知識を求められる
短時間のデイサービス・ケアは、介護保険を受けている人の中でも、比較的介護度が低い人が利用する傾向にあります。こうしたサービスは、運動機能や認知機能など、機能改善を目的としたものであることがほとんどです。
例えば、1日滞在するようなデイサービスであれば、リクリエーションや入浴などを主な目的としている利用者が多くいます。
一方で、短時間のデイサービス、ケアでは、そうしたレクリエーションや入浴サービスを行っていないところがほとんどです。基本的には、器具を使った運動や、理学療法士などのリハビリ職者とマンツーマンのリハビリを行うことに、サービス時間の多くが費やされます。
そのため、利用者自身も運動など、自分自身の体に対する意識が高く、いろいろなことを勉強している人が多いです。
また、そうした人たちは、運動や食事、睡眠など、体に関係することに対して、たくさん疑問を持っています。そして、デイサービス、ケアのスタッフを「みんな専門職者」だと考えて、さまざまな質問をします。
例えば、「スクワットはどうしたら上手くできますか?」「最近うまく眠れていないのですが、何かいい方法はありませんか?」といったように、専門的に勉強しないとわからないような質問をされるが場面が少なくありません。
ただ、基本的に介護福祉士でそうしたことに関して専門的に勉強している人はほとんどいません。そのため、そのようにわからないことを聞かれた場合には、中途半端な回答をするのではなく、「専門的に勉強したことがないのでわかりません」と答えるようにしてください
また、改めて自分で勉強する時間がある人は「次までに調べておきます」と伝えて、しっかりと勉強するようにしましょう。
自立度が高く、転倒のリスクがある
介護福祉士が働く短時間のデイサービス、ケアには、自立度が高く活動的な利用者が多く通われます。ただ、いくら自立度が高いといっても、介護保険を受けている人であって、体が不自由な状態であることには変わりありません。。
そのため、どのような利用者であっても、歩行や立ち上がり、移乗動作などに、少し不安定な部分がみられます。
しかし、それでも短時間のデイサービス、ケアを利用される人には、自立意識が高く、自分で何事も行おうとする人が少なくありません。そして実際に、トイレへの移動や運動器具の使用などを利用者1人で行おうとします。
ただ既に述べたように、いくら介護度が低い利用者といっても、動作には何かしらの不安定性があります。
例えば、運動器具には、段差を昇って機械の上に乗らなければいけないような器具がたくさんあります。介護度が高ければ、そうした道具に1人で乗られることはありません。しかし、短時間のデイサービス、ケアの利用者には、介護職者が見ていないときに1人で段差を昇っている人がいます。
確かに、利用者の中には、1人でも問題なく段差を昇ることができる人もいます。ただ、その中でも転倒の危険性はあるため、介護福祉士としては、最低でも見守りは行っておきたいと思うことが少なくありません。
実際、利用者自身で行動しようとして、転倒しかけたことがある人はたくさんいます。
このように、短時間のデイサービス、ケアの利用者は自立度が高いゆえに、介護福祉士に頼ることなく、利用者自身で行動をしようとします。そうした自発的な行動は、非常に良いことですが、いくら介護度が低いといっても転倒などのリスクが高いということを理解しておいてください。
短時間デイサービス・ケアで介護福祉士に求められる能力
今まで述べたように、短時間(リハビリ特化型)のデイサービス、デイケアでは、長時間利用者が滞在するデイサービスや病院、老人保健施設などとは、介護福祉士に求められることが異なります。
以下に、「短時間デイサービス・ケアへの転職で介護福祉士に必要な能力」について記します。
運動に関する知識
介護福祉士が転職する短時間のデイサービス、デイケアは、「リハビリ特化型」と呼ばれているところがほとんどです。リハビリ特化型というだけあって、運動器具が豊富に揃えてあったり、理学療法士などのリハビリ専門職者が在中していたりします。
そして利用者の多くは、リハビリ目的にその施設に通われています。そのため、ほとんどの利用者は、運動に対する意欲が非常に高いです。
またそうした利用者には、自分自身で運動について、本やテレビなどで学んでいる人が多くいます。つまり、短時間のデイサービス、デイケアの利用者には、運動に関するさまざまな知識を持っている人がたくさんいます。
このように、運動について意欲が高く、勉強もしている人が多いため、介護福祉士に対していろいろと質問してくる利用者が少なくありません。
例えば、「テレビでひざの痛みにはスクワットが良いと聞いたんだけど、スクワットってどうしたらいいの?」や「関節痛にヒアルロン酸を飲んだらいいって本当?」など、体に関するさままざまな質問をされます。
そうした場合に介護福祉士は、専門的なことは答えられないにしても、ある程度のことは回答できるようにしておかなければいけません。
特に、短時間のデイサービス、デイケアと呼ばれるところでは、介護福祉士が運動器具を使った運動を指導することが少なくありません。そのため、そうした運動に関する方法や効果、注意点といったことは、最低限明確に答えられるようにしておくべきだといえます。
以上のように、短時間デイサービス、デイケアでは、介護福祉士にも運動に関する知識が必要になることが少なくありません。
周囲に対する観察力
短時間のデイサービス、デイケアには、運動に対する知識を持っており、運動意識が高い利用者が少なくありません。
そのこともあって、利用者の介護度は比較的低い人が多いです。そのため、トイレや運動器具への移動など、室内での行動を自発的に行う人がほとんどです。
確かに、短時間のデイサービス、デイケアに通われている利用者の多くは、室内での移動に困りません。ただ、全く転倒などのリスクがないかというと、そうではありません。中には、歩行が自立しているものの、平地でも歩行が不安定な人もいます。
しかしそうした人でも、「自分は歩ける」「平地歩行は心配ない」と考えている人がたくさんいます。そして既に述べたように、短時間デイサービス、デイケアを利用されている人には、運動意欲が高い人が多いため、自分自身で動こうと思って1人で行動する人が少なくありません。
このように、短時間デイサービス、デイケアでは、自発的に1人で室内を移動する人が少なくありません。そのため介護福祉士は、他施設と比較すると、常に回りに目を配りながら業務を行う必要があります。
例えば、1人の利用者に対して、トイレまでの移動を介助しているときでも、「他に動いている人はいないか?」「立ち上がろうとしている人はいないか?」など、他の利用者にも常に注意を向けなければいけません。こうしたことは、他の施設でも同じですが、特に短時間デイサービス、デイケアでは注意しなければいけません。
そのため、短時間デイサービス、デイケアへ転職する介護福祉士には、より高い観察力が求められます。
今回述べたように、介護福祉士が短時間のデイサービス、ケアへ転職する際には、「知識が求められること」「自立度が高く、転倒のリスクがある」という2つの点に注意しなければいけません。
こうしたことを理解して転職前に心の準備をしておくと、短時間のデイサービス、ケアへ転職した後、困ることが少なくなります。
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