
結論から言うと、40代で未経験でも介護職への転職は目指せます。「資格・経験・年齢不問」で募集している求人があるためです。一方で、「39歳未満」などの年齢条件がある求人や、最初はパートや派遣から始まる求人もあります。
この記事では、次の5つのポイントを順に解説します。
- 40代未経験でも転職できるのか
- 給料はどのくらいか(令和6年度の公的調査)
- 入職前に知っておきたい注意点
- 取っておくと有利な資格とおすすめの職場
- 正社員を目指す進め方
40代で未経験から介護職へ転職できるのか
40代の転職は、一般的に30代よりハードルが上がると言われます。介護業界でも、いきなり正社員で採用されるとは限らず、最初はパートや契約から始まる場合があります。それでも、介護職への転職は40代からでも目指せます。施設によっては年齢制限を設けている求人もありますが、年齢を問わず募集している求人もあります。
40代で異業種から入職する人もいます
介護の現場には、異業種から40代で入職し、実務経験を積んで介護福祉士の資格を取る人もいます。介護の仕事は無資格でも始められるため、社会人経験のある方が活躍している職場もあります。
「39歳未満」などの年齢条件がある求人もあります
施設によっては、長期的に育てる人材を想定して「39歳未満」などの応募条件を出している場合があります。ただし、求人票に書かれた年齢条件は事業所ごとに異なります。気になる求人は、年齢条件の理由や、40代の職員が働いているかを問い合わせてみると、状況が分かります。
「資格・経験・年齢不問」の求人も見つかります
介護の仕事は、無資格から始められるものがあります。事業所によっては、「資格・経験・年齢不問」で募集している場合があります。資格や経験があれば仕事に慣れやすく、転職でも選べる求人が増えますが、未経験でも応募できる求人はあります。まずは、研修制度や教育の体制が整っている職場を探すことが大切です。
2025年の公的統計から見る離職者と医療・福祉の就業者
総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)平均結果」によると、完全失業者数は176万人でした。このうち、「勤め先や事業の都合による離職」は22万人、「自発的な離職(自己都合)」は75万人と報告されています。
同じ調査で、就業者のうち前年に比べて最も増えた産業は「医療,福祉」で、947万人(前年比25万人の増加)でした。医療・福祉は働く人が増えている分野で、転職先の選択肢の一つとして介護の仕事を考える方もいます。
介護職員(常勤)の給料の目安
前職より給料が下がる場合もあるため、事前に給与の目安を確認しておくと安心です。厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、介護職員等処遇改善加算を取得している施設・事業所の介護職員(月給・常勤の者)について、令和6年9月時点で次の数字が示されています。
| 項目 | 令和5年9月 | 令和6年9月 |
|---|---|---|
| 基本給等(月額) | 242,680円 | 253,810円 |
| 平均給与額(月額) | 324,240円 | 338,200円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント」。基本給等は、基本給に毎月決まって支払われる手当(通勤手当・扶養手当・超過勤務手当などは含まない)を加えたものです。平均給与額は、基本給と手当に、一時金(4月から9月の支給額の6分の1)を加えたものです。
注意したいのは、この数字が「介護職員(常勤)」全体の平均で、経験年数の長い方や資格をお持ちの方も含まれる点です。未経験で入職した直後の給与は、事業所の給与体系や資格の有無によって異なります。具体的な金額は、応募を考えている求人票や、面接で確認してください。
また、令和8年度介護報酬改定に関する審議報告(社会保障審議会介護給付費分科会、令和7年12月23日)では、介護職員等処遇改善加算を拡充し、令和8年6月施行とすることが示されています。介護職員以外の介護従事者も新たに対象とされ、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援なども新たに加算の対象になります。処遇改善の仕組みは事業所ごとに運用が異なるため、求人票で処遇改善加算の取得状況や賃金への反映のしかたを確認すると安心です。
40代から介護職へ転職するときの注意点
給料だけでなく、働き方や職場との相性も大切です。入職前に押さえておきたい点を5つにまとめました。
まずは新人として学ぶ姿勢を持つ
介護の現場では、学歴や前職の役職よりも、介護の経験や資格が重視される場面があります。年齢が上でも、入職後は新人として、年下の先輩職員から教わることがあります。これまでの経験は、利用者さんやご家族への接し方、報告・連絡・相談の丁寧さなどで活かせます。まずは教わる姿勢を大切にすると、職場にも早くなじみやすくなります。
この仕事を選ぶ理由を自分の言葉で整理する
介護は、人の生活を支えるやりがいのある仕事です。同時に、体力面や気持ちの面で大変さを感じる場面もあります。面接でも「なぜ介護の仕事を選んだのか」を聞かれることが多いため、見学や職場体験などを通して、自分なりの理由を整理しておくと、入職後のミスマッチを減らせます。
体力面の負担を確認する
介護の仕事には、身体介助や夜勤のあるシフトなど、体に負担がかかる場面があります。年齢とともに疲れが残りやすくなる方もいるため、職場選びの段階で、夜勤の有無、利用者さんの介護度、福祉用具(リフトなど)の導入状況を確認しておくと安心です。
職員構成や募集の中身は事業所ごとに異なる
職員の年齢層や男女の構成は、事業所によって異なります。送迎や運転を担当する仕事など、募集の中身が変わることもあります。年齢条件があるかどうかは、求人票や面接で確認してください。
正社員は、パートや派遣から始まる場合もある
40代の未経験からの入職では、最初はパートや契約から始め、働きぶりを見て正社員へ切り替える職場もあります。最初から正社員を希望する場合は、資格を取得しておく、正社員募集の求人を絞って探すといった準備が役立ちます。詳しい進め方は、後半の「正社員を目指す方法」で解説します。
転職前に取っておきたい資格
無資格でも始められる職場はありますが、資格があると応募できる求人の幅が広がります。40代から介護職を目指す方は、次の3つが目安になります。
| 資格 | 内容の目安 |
|---|---|
| 介護職員初任者研修 | 介護の基本的な知識と技術を学ぶ入門の研修です。合計130時間で、受講資格は問われません。費用や期間は、受講する事業者によって異なります。 |
| 実務者研修 | 介護福祉士の受験に必要な研修です。合計450時間で、医療的ケア(たんの吸引など)も学びます。保有資格によって免除される科目があり、費用や期間は受講先によって異なります。 |
| 介護福祉士 | 介護分野の国家資格です。実務経験を積み、実務者研修を修了したうえで国家試験に合格して取得するルートのほか、養成施設を卒業するルートなどがあります。 |
未経験から始める場合は、まず初任者研修の受講を検討しましょう。可能であれば実務者研修まで進めておくと、キャリアの選択肢が広がります。介護福祉士までの道のりは、「無資格の介護士が実務者研修、介護福祉士を取得する方法」で詳しく紹介しています。
40代の転職でおすすめの職場
職場の種類によって、夜勤の有無や体への負担、必要になる資格が変わります。主な職場を比較表にまとめました。内容は一般的な目安で、事業所ごとに異なります。
| 職場 | 夜勤 | 体への負担の目安 | 資格の目安 |
|---|---|---|---|
| デイサービス・デイケア | ない場合がある | 利用者さんの介護度による | 無資格から応募できる求人もある |
| 訪問介護(ヘルパー) | 事業所によって異なる | 利用者さんの自宅で1対1の支援 | 初任者研修以上が必要 |
| 特別養護老人ホームなどの入所施設 | 夜勤のあるシフトが組まれる場合がある | 身体介助の場面が多くなる場合がある | 無資格から応募できる求人もある |
| グループホーム | 夜勤のあるシフトが組まれる場合がある | 少人数で生活を支える | 無資格から応募できる求人もある |
デイサービス・デイケア
デイサービスやデイケアは、基本的に夜勤がない職場が多く、生活リズムを整えやすい点が魅力です。業務は、利用者さんの送迎、入浴介助、食事の準備や見守り、運動やレクリエーションの補助などです。リハビリに力を入れている職場では運動の見守りや集団での運動指導、レクリエーションに力を入れている職場では司会を任されることもあります。
ただし、入浴介助は体への負担が大きくなりやすい仕事です。介護度の高い利用者さんが多い職場では、特に負担を感じる場合があるため、見学の際に1日の流れや人員配置を確認しておきましょう。
特別養護老人ホームなどの入所施設
入所施設は、利用者さんが生活する場なので、食事、入浴、排泄、移動などの介助を一日の流れに沿って行います。夜勤を含むシフトで働く職場もあり、その場合は夜勤手当がつく反面、生活リズムの調整が必要です。職員の人数が多く、先輩に相談しやすい環境の施設もあります。入職後の研修や、新人を支える体制があるかを、見学のときに確認しましょう。
グループホーム
グループホームは、認知症のある方が少人数で共同生活を送る住まいです。料理や掃除など、暮らしを一緒に整える場面が多く、これまでの生活経験を活かしやすい職場です。夜勤のあるシフトが組まれる場合があるため、夜間の人員体制や休憩の取り方も、事前に聞いておくと安心です。
訪問介護(ヘルパー)
訪問介護は、利用者さんのご自宅を訪問し、食事や掃除、買い物などの生活援助や、入浴介助などの身体介護を行う仕事です。働くには、介護職員初任者研修などの修了が必要です。家事や暮らしの経験を活かしやすく、年齢を重ねたヘルパーが働いている事業所もあります。まずは初任者研修を修了してから応募しましょう。
介護タクシー
介護タクシーは、要介護の方や、身体に障害のある方などの通院・外出の送迎を行う仕事です。運転手として働くには、普通自動車第二種免許が必要になります。運転が得意な方、運転の経験を活かしたい方に向いています。事業所によっては、自宅内での介助の範囲が決められています。応募の前に、どこまで介助を行う仕事なのかを確認してください。
介護保険タクシー(ケアドライバー)
介護保険タクシーは、介護保険が適用される訪問介護サービスの一つで、通院などの乗り降りの介助まで行う形態を指します。多くの場合、普通自動車第二種免許に加えて、介護職員初任者研修などの修了が求められます。求人サイトでは、介護タクシーと介護保険タクシーが同じ「介護タクシー」の名前で掲載されている場合もあるため、応募条件に初任者研修が含まれているか確認しましょう。
40代から正社員を目指す方法
40代の未経験からでも、進め方しだいで正社員を目指せます。次の3つを順に検討してみましょう。
1. 資格を取得する
正社員の募集では、資格があると応募できる求人が増え、事業所からの信頼も得やすくなります。初任者研修や実務者研修、介護福祉士と段階的に進めることで、選べる職場が広がります。求人数や条件は時期や地域で変わるため、応募前にご自身の地域の求人を確認してみてください。
2. 派遣や紹介予定派遣から正社員を目指す
パートやアルバイトで働いたあと、正社員に切り替わるかどうかは職場によって異なります。一方、紹介予定派遣は、一定期間働いたあとに双方が合意すれば直接雇用に移る仕組みです。職場の雰囲気を知ってから選べる点が特徴です。派遣という働き方の特徴は、「資格なしで介護職へ転職する人に派遣をお勧めする理由」で解説しています。
3. 介護職に詳しい転職サービスを活用する
職場選びで迷ったときは、介護職専門の転職サービスが役立ちます。多くのサービスは無料で利用でき、担当のアドバイザーに、求人の紹介、履歴書の書き方、面接の準備などを相談できます。サービスによって、扱う求人や支援の内容は異なります。未経験の方は、複数のサービスを比べて、自分に合うものを選ぶと安心です。
応募前に確認したいチェックポイント
入職後のミスマッチを減らすために、見学や面接の際に、次の点を確認しておきましょう。
- 未経験者向けの研修や、先輩がつく指導の期間があるか
- 夜勤の回数、休憩の取り方、休日の数はどのくらいか
- 初任者研修などの資格取得を支援する制度があるか
- 雇用形態(正社員・パート・契約)と、正社員への切り替えの実績があるか
- 処遇改善加算の取得状況と、賃金への反映のしかた
- 福祉用具(リフトなど)の導入や、職員の体への負担を減らす工夫があるか
面接では、これまでの仕事で身につけた経験(接客、営業、事務、運転など)が、介護の現場でどう役立つかを、具体的な場面で話せるように準備しておくと、人柄や意欲が伝わりやすくなります。
40代未経験の介護転職でよくある質問
Q. 40代でも本当に未経験から採用されますか?
A. 年齢不問で未経験者を募集している求人はあります。応募前に、研修制度や教育の体制が整っているか、40代の職員が働いているかを確認すると、入職後の様子がつかみやすくなります。
Q. 資格がなくても応募できますか?
A. 無資格から応募できる求人はあります。ただし、訪問介護のように初任者研修などの修了が必要な職場もあります。応募前に、求人票の応募条件を確認してください。
Q. 給料はどのくらいですか?
A. 厚生労働省の令和6年度調査では、処遇改善加算を取得している事業所の介護職員(月給・常勤)の基本給等は、令和6年9月時点で253,810円でした。この数字は経験者を含む平均です。未経験で入職した直後の給与は、事業所や資格の有無で異なるため、求人票で確認しましょう。
Q. 体力が心配です。どんな職場がよいですか?
A. 夜勤のない職場や、介護度が比較的軽い利用者さんが多い職場から検討する方法があります。リフトなどの福祉用具の導入状況も、見学のときに確認しておくと安心です。
まとめ
40代で未経験から介護職へ転職する場合は、資格の取得、職場選び、働き方の選び方を事前に整理しておくことが大切です。年齢条件のある求人もありますが、年齢不問で募集している求人も見つかります。初任者研修などの資格を準備し、見学や相談を重ねながら、自分に合う職場を探していきましょう。職場選びに迷うときは、介護職に詳しい転職サービスに相談してみるのも一つの方法です。