介護士における夜勤の実態:手当や求人事情、夜勤専従
介護士の中には、夜勤がある職場で働く人も少なくありません。一般的には、夜勤に対して精神的にも体力的にも辛いイメージを持っている人がほとんどです。
確かに、夜勤は夜中に働くため、生活リズムが乱れて体調を崩しやすい上に、家族などとの生活パターンがズレてしまいます。また、一人で多くの利用者の対応をしなければいけないため大変です。
しかし、夜勤には夜勤手当が支給されたり深夜で時給が割り増しされたりするというメリットもあります。そのため、夜勤のおかげで収入が高くなっている介護士も少なくありません。
また、給料が良い夜勤専従で働くことで高い収入を得ている介護士も存在します。
このように、介護士の夜勤に関しては、メリット・デメリットがあるため、夜勤について悩んでいる介護士は多いです。
そこで今回は、「介護士における夜勤の実態」について解説します。
夜勤がある職場とない職場
介護士が働く職場の中には、夜勤がある職場と夜勤がない職場が存在します。
例えば、利用者が入所されているような特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなどには、夜勤があります。その一方で、デイサービスやデイケアといった、いわゆる「通所系サービス」を提供している事業所には、夜勤はないのが一般的です。
以下に、介護士の就職・転職先における夜勤の有無についてまとめます。
夜勤がある職場 | 夜勤がない職場 |
---|---|
・特別養護老人ホーム ・介護老人保険施設 ・グループホーム ・有料老人ホーム ・訪問介護(重度訪問介護などを実施している職場) ・入院施設がある病院 |
・デイサービス、デイケア ・入院施設がない病院(クリニックなど) ・訪問介護 |
夜勤における業務内容
介護士が夜勤で働く際には、日勤中とは異なる業務を行わなければいけません。例えば介護士の夜勤であれば、ナースコールへの対応や、定期的な施設内の巡回を実施する必要があります。
夜勤の介護士が行う主な業務には、以下のような仕事が挙げられます。
・食事介助(薬の投与なども含む)
・就寝前と起床後の更衣介助
・排泄介助
・おむつ交換
・見回り、巡回
・ナースコール(呼び出し)の対応
そして、施設によっては一人で夜勤をしなければいけない職場も存在します。そうなると、こうした業務を全て一人でこなすことになるのです。
また、もし夜勤の担当が数人いたとしても、通常とは比べ物にならない位数の利用者を一人で担当することになります。
もちろん、自立度が高い利用者さんが多い施設であれば、夜勤中にナースコールがほとんど鳴らないような日もあります。ただ、1日に数十回も呼び出したり、一人で徘徊したりする利用者が入所している施設も少なくありません。
特に、認知症の利用者が多いような施設であれば、「知らない間に徘徊して転倒していた」といった事故も起こりかねないのです。そうしたことを防ぐためにも、夜勤中の介護士は常に気を張っておかなければいけません。
また利用者のほとんどは、だいたい同じような時間に起床するため、着替えや食事介助などを一気に行う必要があります。そのため、朝は朝で時間との戦いになります。
このように、介護士における夜勤の仕事は、基本的にゆっくりするような時間はなく、さまざまな業務を行わなければいけないのが現状です。
具体的な夜勤の時間
介護士が夜勤で働く場合、勤務時間帯は職場によってまちまちです。ただ、大体の勤務時間帯は決まっており、以下の2つの勤務時間であるケースが多いです。
1.17時~翌9時(休憩1~2時間)
2.22時~翌6時(休憩1~2時間)
1の場合だと、16時間拘束となりますが、「夜勤入りと夜勤明けの2日間に分けて仕事を行った」という計算方法になるため、労働基準法上では問題ありません。これは、いわゆる1日を2つに区切って交代する「2交代制」と呼ばれる勤務時間です。そして、2交代制の場合には、夜勤明けの翌日は休みとなります。
これに対して、2の勤務時間は「3交代制」と呼ばれるシフトです。3交代制であると、昼勤の人が「6時~14時」、前夜勤(遅番)の人が「14時~22時」、夜勤の人は「22時~6時」という形になります。
ちなみに、三交代制で夜勤を行った場合、夜勤明けの日は休みとして扱われるため、夜勤明けの翌日は出勤になるのが一般的です。
夜勤における休憩・仮眠
介護士の夜勤においては、施設によって休憩や仮眠の時間が規定されています。具体的には、「16時間拘束であれば2時間」「8時間拘束であれば1時間」といった具合です。
基本的には、夜勤で働いているときには、施設の規定に沿って休憩や仮眠を取ることができます。ただ、実際には規定時間通りに安心して休憩や仮眠を取れている介護士は少ないのが現状です。
例えば、休憩や仮眠中であっても、利用者からのナースコールがあれば対応しなければいけません。また同じように、休憩しようとしていたときに徘徊しているような利用者を見つけた場合も、その対応で休憩時間は短くなります。
さらに、たとえナースコールなどが鳴らなくても、いつ何が起こるかわからないのが夜勤です。そのため、「安心して休憩や仮眠を取れない」と感じている人は少なくありません。
もちろん、数人体制で夜勤を行っている場合には休憩や仮眠は取りやすくなります。しかし、そうした職場はなかなか見つからないのが現状です。
このように、夜勤では休憩と仮眠の時間が確保されているのが基本ですが、「十分な休憩・仮眠が取れない」というのが現状です。
夜勤手当の平均・相場
介護士が夜勤で働くと、基本給などとは別に「夜勤手当」が支給されます。夜勤手当は職場によって異なりますが、だいたい1回の夜勤につき3,000~10,000円です。
安いところでは1300円という職場も存在しますが、介護士の夜勤手当は平均して1夜勤辺り4,000~5,000円が相場となっています。そして、介護士が夜勤のある職場に勤めている場合には、おおよそ月に4~5回夜勤が回ってきます。そうなると、月に20,000円前後の夜勤手当が付くことになるのです。
介護士の中には、職場が人員不足で1ヶ月で7~10回も夜勤に出ている人も存在します。1ヵ月で夜勤を10回もすると、月収が40,000~50,000円も変わります。
このように、介護士の夜勤手当は平均して4~5,000円であり、月に20,000円程度の収入につながります。
夜勤のアルバイト
介護士の中には、正社員としてではなくアルバイト(バイト)として夜勤で働いている人もいます。そこで以下に、介護士における夜勤のアルバイトについて記します。
日勤バイトの時給相場
介護士における日勤アルバイトの時給は、働く地域や持っている資格によって異なります。例えば、東京などの関東では時給が高い傾向にありますが、熊本などでは安いです。
そして無資格の場合は、時給が良い地域で1,000円前後、逆に時給が低い地域では800円前後のところもあります。当然ながら、国家資格である介護福祉士の資格を持っていると時給も200~300円程度上がります。
このように、介護士におけるバイトの時給は「一般的なバイトと変わりない」というのが現状です。
夜勤バイトの時給・収入
介護職に限らず、勤務時間が夜間になると、労働基準法によって割増賃金が発生することが決められています。具体的には、22時を超えると通常賃金の25パーセント増しになります。
例えば、通常の時給が1,000円である職場の場合、22時以降は時給が1,250円以上になるのです。
そして、好条件である夜勤のパート求人であれば、1回の当たり15,000~20,000円の給料を得ることができます。特に、介護福祉士や介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)、実務者研修、ホームヘルパー1級などの資格を有している場合には、一夜勤につき20,000円以上の条件が提示されている求人も多いです。
ただ、夜勤は9時間や16時間など、勤務・拘束時間が長い場合がほとんどであり、実際の時給にすると1,300~1,500円となります。
夜勤バイトの求人事情
介護士の夜勤は、本来であれば正社員が担当するのが好ましいです。夜勤は一人で緊急の対応をしなければいけない場合もあるため、ある程度経験を積んでおり信頼できるようなスタッフに任せた方が安心です。
また、当然ながら日勤も行っており利用者の性格や特徴などを細かく把握しているスタッフの方が、夜間の対応もスムーズに行えます。
ただ現状では、介護現場は慢性的な人手不足の状態にあるため、経験が浅い介護士でも夜勤のパートとして募集・採用している職場も少なくありません。そのため、ハローワークや求人サイトなどで検索すれば、パート介護士の夜勤求人は簡単に見つかります。
しかしそうはいっても、介護士のパートにおける夜勤の給料や業務内容は求人によって大きく異なります。
例えば、1回の夜勤で20,000円支給されるような職場もありますし、15,000円のところもあります。また、夜勤を数人で担当するような場合もありますし、一人だけで夜勤をする施設も存在します。
このように、パート介護士の夜勤求人は比較的簡単に見つかりますが、求人内容や実際の仕事内容に大きな差があるのが現状です。
介護士が夜勤をするデメリット
介護士の夜勤というと、ネガティブなイメージを持っている人がほとんどです。そこで以下に、介護士が夜勤をするデメリットについて記します。
体調を崩す
介護士が夜勤をすると、生活リズムが崩れるケースがほとんどです。日勤であれば「朝起きて仕事へ行き、夕方帰宅して夜眠る」というリズムを繰り返します。人の身体には、「生体リズム(体内時計)」と呼ばれる仕組みが備わっており、自然とこうしたリズムで生活するようになっています。
ただ、夜勤で働くと生体リズムから外れた生活をすることになります。そうなると、本来体に備わっている体内時計のリズムが狂うことになるのです。
そして、体内時計の乱れはさまざまな病気の発症に関係していることが明らかになっています。
例えば、睡眠障害やメタボリックシンドローム(メタボ)などは、生体リズムの崩れが原因で生じる代表的な病気です。その他にも、体内時計から外れた生活をしていると、ストレスを感じやすくなったり血圧が高くなったりする可能性があります。
このように、介護士が夜勤を行って体内時計から外れた生活を繰り返していると、体調を崩しやすくなります。
家族と生活リズムがズレる
介護士には、旦那や子どもといった家族がいる女性が多いです。当然ながら、旦那が日勤の会社であれば、朝出勤して夕方に帰宅しますし、子どもは朝学校へ行って夕方帰ってきます。
そのため、介護士で夜勤をしていると、家族の生活リズムとズレが生じることになるのです。
例えば、17時~翌10時までの夜勤であれば、旦那や子どもが帰宅する時間には出勤していますし、朝帰宅する頃には旦那も子どもも家にはいません。
このように、介護士が夜勤をすると「家族と生活のリズムがズレる」というデメリットがあります。
体力的にきつい
夜勤の仕事は、本来であれば眠っている時間に行わなければいけません。既に述べたように、身体には体内時計が備わっており、夜には自然と眠気が生じます。そのため、夜勤に慣れるまでは、眠気と闘わなければいけないのです。
確かに、夜勤中には仮眠を取れる場合がほとんどです。ただ、それでも夜中に仕事をすることは体力的に辛いのが現状です。
まだあなたが20代であれば、夜勤で少々無理をしても問題ないかもしれません。その一方で、40代や50代になって夜勤で働くひとのほとんどは、体力的な負担を感じています。
このように、「夜勤は体力的にきつい」と感じている介護士は少なくありません。
夜勤専従の介護士について
介護士の中には、夜勤専従の介護士として働いている人も少なくありません。確かに、夜勤専従であれば、少ない日数で高い収入を得ることが可能です。ただ、夜勤専従の場合、当然ながらデメリットもあります。
そのため、夜勤専従の介護士として働く場合には、メリットとデメリットの両面を理解しておくことが大切です。
夜勤専従介護士のメリット
夜勤専従の介護士となるメリットには、主に「給料が高い」「日中に活動できる」「人間関係で悩むことが少なくなる」という3つが挙げられます。
・給料が高い
既に述べたように、夜勤の場合は割増の給料になるため、時給自体が高い傾向にあります。そして2交代制の場合、実質1回の勤務で14~16時間働くことになります。そのため、1回の出勤でまとまった給料を貰うことができるのです。
例えば、夜勤の割増時給が1,500円で14時間勤務の場合、1回の夜勤で21,000円も稼ぐことになります。つまり、月に10日間夜勤をするだけで、月収が20万円を超すことになるのです。
このように、夜勤専従の介護士として働く最大のメリットは、給料の高さにあります。
・日中に活動できる
夜勤専従であれば、午前中や昼などは自由に活動することができます。もちろん、夜勤専従の人には、夜勤明けから夕方までの時間を睡眠に充てる人もいます。ただ基本的には、日中における時間の使い方は自由です。
例えば、常勤として働いている人の中には、平日の昼にしかできないような「銀行の窓口における取引」「病院への通院」などが行えずに困っている人も少なくありません。
その一方で夜勤専従であれば、こうした平日の昼にしか行えないような用事も、難なくこなすことができます。
・人間関係で悩むことが少なくなる
日勤時とは違い夜勤時は、1人もしくは2人などのスタッフで勤務する職場がほとんどです。そのため、夜勤専従となると同じ職場のスタッフと過ごす時間が短くなります。もちろん、申し送りや会議などで関わることはあります。
ただ、それでも常勤職で日勤として働いているときよりは、スタッフとの関わりは非常に少ないです。
こうしたことから、夜勤専従になると介護士に起こりやすい職場内での人間関係トラブルなどに悩まれることが少なくなります。
夜勤専従介護士のデメリット
ここまで述べたように、夜勤専従の介護士として働くと、さまざまなメリットがあります。その一方で、夜勤専従であると「体調を崩しやすい」「子育て中は難しい」「正社員として雇用されにくい」というデメリットもあるのです。
・体調を崩しやすい
既に述べたように、介護士が夜勤で働くと、体内時計から外れた生活を送ることになります。特に夜勤専従となると、生体リズムを考慮した上で、上手く調整して勤務日を決めないと、常に体内時計が狂ったような状態になる可能性があります。
そして、体内時計が乱れていると、さまざまな病気を発症しやすくなります。例えば、女性であれば「生理不順」や「不妊」などは、夜勤がある仕事に就いている人に多い問題です。
その他にも、生活リズムの乱れは、腰痛や関節痛などの発症にも関係しています。また、不規則な生活は肥満の原因でもあります。
このように、「体調を崩しやすい」ということは、介護士が夜勤専従として働くデメリットです。
・子育て中は難しい
介護士の中には、子育てをしながら働いている人が少なくありません。そして、中には子どもが小さい人もいます。
もちろん、子どもが大学生や社会人であれば、夜勤専従として働き、夜に家にいなくても問題ないでしょう。ただ、子どもが幼児や小学生、中学生の場合、月に何回も夜間に仕事へ出ることは難しいのが現状です。
確かに、両親や旦那さんなどの協力があればできないこともありません。しかし、現実的には子どもが小さい間は夜勤専従として働くのは厳しいでしょう。
また既に述べたように、家族と生活のリズムがズレてしまうのも問題となります。
・正社員として雇用されにくい
夜勤専従の介護士は、ほとんどの人がアルバイトか派遣として働いています。正社員として夜勤勤務している人は、「日勤 + 夜勤」という勤務形態である場合がほとんどです。
夜勤だけの求人を探してみると明らかですが、1日辺りの給料は高いものの、ほとんどがパートか派遣の求人となっています。
正社員でないということは、賞与(ボーナス)が支給されない可能性もあります。またパート社員であれば、業績悪化時に解雇されやすい立場にありますし、派遣社員であれば、契約期間が満了するとそのまま契約を切られるようなケースがほとんどです。
このように、夜勤専従の介護士として働く場合「正社員として雇用されにくい」というデメリットがあるのです。
今回述べたように、介護士が夜勤専従として働くことには、メリット・デメリットの両面があります。そのため、「夜勤専従の介護士になりたい」と考えている人は、こうした点を理解した上で、夜勤専従という働き方を選択することが大切です。
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