
無資格・未経験でも、介護職として働き始められる職場はあります。ただし、「未経験歓迎」と書かれていれば、どの職場でも同じように働けるわけではありません。利用者の介護度、送迎やレクリエーションの有無、夜勤の体制などは、事業所によって大きく異なります。この記事では、無資格・未経験の方が介護職の求人を探すときに、先に確認しておきたい点を整理します。
この記事の要点は次の5つです。
- 無資格でも、介護の仕事に就けるサービスはあります。
- 訪問介護(ホームヘルパー)は、介護職員初任者研修などの修了が必要です。
- 職場選びでは、利用者の介護度、送迎、レクリエーション、夜勤の有無を確認すると、入職後のミスマッチを減らしやすくなります。
- 働きながら、初任者研修や実務者研修を目指す方法があります。
- 求人票だけで判断せず、見学や、介護の転職に詳しい相談先を使うと、職場の実情を確かめやすくなります。
なお、この記事でいう介護職は、国家資格の「介護福祉士」ではなく、現場で介護にあたる「介護職員」を指します。
無資格でも介護職として働けるのか
介護の現場では、資格がなくても介護職員として働ける職場があります。全く別の業界から転職した方や、家事や子育てを経て働き始めた方もいます。介護職員初任者研修や介護福祉士などの資格は、持っていると仕事の幅が広がりやすく、現場の基礎を学びやすくなります。一方で、入職してから資格取得を目指す方法もあり、現場を経験しながら学べる点は利点です。
ただし、認知症介護基礎研修については、確認しておきたい点があります。医療・福祉関係の資格を持たない介護職員は、この研修の受講が求められる場合があります。対象になる職場や受講の時期、費用は、事業所や自治体によって異なるため、応募先で確認してみてください。
無資格・未経験の給料はどのくらいか
給料は、勤め先のサービスの種類、地域、夜勤の回数、常勤か非常勤かによって変わります。ここでは、公表されている介護職員全体の目安を紹介します。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、介護職員等処遇改善加算を取得している施設・事業所で働く、月給・常勤の介護職員の平均給与額は338,200円でした(令和6年9月)。このうち、基本給と毎月決まって支払われる手当(通勤手当・扶養手当・超過勤務手当などを除く)をあわせた「基本給等」は253,810円でした。平均給与額は、基本給と手当に、一時金(4月から9月に支払われた金額の6分の1。賞与を含む)を加えたものです。
この数字は、介護福祉士などの資格を持つ人、夜勤手当を受け取る人、勤続年数の長い人も含んだ平均です。無資格・未経験で働き始めたときの給与は、これと異なる場合があります。月給、手当、賞与の内訳は、求人票と面接で確認しておくと安心です。
無資格でできる仕事と、資格が必要な仕事
訪問介護(ホームヘルパー)は、介護福祉士、または介護員養成研修などを修了した人が行う仕組みです。介護職員初任者研修は、訪問介護員になるための研修のひとつで、130時間で構成されています。以前の「ホームヘルパー2級」は、平成25年4月に初任者研修へ移行しました。訪問介護の求人に応募するときは、研修の修了が条件になっていないかを確認してください。
一方、デイサービスや施設などでは、無資格の方が働いている職場があります。ただし、サービス内容や担当できる業務は事業所によって異なります。応募前に、どの業務から始めるのかを聞いておくと、入職後のイメージを持ちやすくなります。
未経験者が職場選びで確認したいこと
「未経験者歓迎」「無資格OK」という言葉だけで応募先を決めると、入職後に「思っていた仕事と違った」と感じる場合があります。次の点を事前に確認しておくと、ミスマッチを減らしやすくなります。
利用者の介護度
介護度が高い利用者が多い職場では、移乗や入浴の介助など、身体への負担が大きい場面が増えます。介護の技術が身についていない段階では、腰やひざに負担がかかる場合があります。応募する事業所の、利用者の平均的な介護度や、新人が最初に担当する業務、先輩職員による指導の体制を確認しておくと安心です。
通所系サービスでの送迎
通所リハビリやデイサービスなどの通所系サービスでは、職員が利用者の送迎を担当する事業所があります。運転が苦手な方やペーパードライバーの方は、送迎の有無や、担当する範囲、送迎用の車の大きさを確かめておくと、入職後に困りにくくなります。運転を担当しない配置があるかどうかも、面接で聞いてみてください。
レクリエーションの進行
デイサービスでは、レクリエーションに力を入れている事業所があります。利用者の前で司会や進行を任される場合もあるため、人前で話すことに不安がある方は、担当する頻度や、準備を職員で分担しているかを確認しておくと安心です。
夜勤の体制
夜勤は、利用者の急な体調の変化などに対応する場面があります。無資格・未経験の方が夜勤に入る時期や、夜勤に入る人数、困ったときに相談できる体制は、事業所によって異なります。夜勤の手当や回数とあわせて、独り立ちまでにどのような研修があるかを聞いておくと安心です。
職場の確認項目を、次の表にまとめました。面接や見学のときの質問の目安にしてください。
| 確認する点 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 利用者の介護度 | 利用者の方は、どのような介助が必要な方が多いですか。 |
| 新人の研修 | 入職後は、どのくらいの期間、先輩職員と一緒に働きますか。 |
| 送迎 | 送迎は、新人も担当しますか。運転しない働き方はできますか。 |
| レクリエーション | 司会や進行は、どのくらいの頻度で担当しますか。 |
| 夜勤 | 夜勤は、いつごろから、何人体制で入りますか。 |
| 資格取得の支援 | 初任者研修などの受講費用を、補助してもらえますか。 |
無資格・未経験の方が目指しやすい資格
無資格・未経験で働き始めたあとは、資格を取ることで、できる仕事の幅や、キャリアの選択肢を広げやすくなります。代表的な資格を紹介します。
介護職員初任者研修
介護の基本的な知識や技術を学ぶ研修で、130時間で構成されています。年齢や経験などの受講条件は特になく、未経験の方でも受けられます。修了には、筆記試験による評価があります。通学や通信を組み合わせられる講座もありますが、期間や費用は、実施する機関によって異なります。働きながら受講したい方は、日程や補助制度を事前に確認してください。
実務者研修
実務者研修は、介護福祉士の国家試験を受けるために必要な研修です。介護の業務に3年以上従事し、実務者研修を修了することで、受験資格のひとつを満たします。受講時間は、無資格の場合で450時間とされることが多く、初任者研修を修了している方は、一部の科目が免除されて短くなる場合があります。免除の範囲は、持っている研修の種類や、受講する研修機関の判断によって異なるため、申し込む前に修了証明書を持って確認してください。
ガイドヘルパー(移動介護の従事者)
ガイドヘルパーは、移動に支援が必要な方の外出を手伝う仕事のための研修です。視覚障害のある方、知的障害や精神障害のある方などを対象にした課程があり、研修の内容や受講の条件は、自治体や実施する機関によって異なります。訪問系のサービスや障害者施設で働きたい方は、住んでいる地域の実施状況を確認してみてください。
無資格・未経験の求人の探し方
介護の現場では、人手が足りない職場もあります。そのため、パート・アルバイトや夜勤を含め、無資格の方が応募できる求人が出ている場合があります。一方で、高い時給や高い収入を条件にすると、無資格の方が応募できる求人は限られる場合があります。求人票の月給や時給は、基本給、手当、夜勤の回数などの内訳まで確認してください。
求人票だけでは、利用者の様子や職場の雰囲気までは分かりにくいものです。次の方法を組み合わせると、職場の実情を確かめやすくなります。
知人から職場の話を聞く
介護の現場で働く知人がいれば、仕事の内容や残業の様子など、求人票に載らない話を聞ける場合があります。ただし、紹介で入職すると、合わなかったときに辞めにくいと感じる方もいます。紹介してもらうかどうかとは別に、職場を知る情報源として話を聞いてみるのも方法です。
事業所の見学を申し込む
見学ができる事業所では、職員の動きや利用者の様子を、自分の目で確かめられます。面接の前に見学できるか、問い合わせてみてください。先ほどの確認表を、質問のメモとして持っていくと便利です。
介護職に詳しい転職サービスを使う
介護職を専門にした転職サービスでは、担当のアドバイザーに希望を伝えて、求人を紹介してもらえるサービスがあります。職場の雰囲気や、新人の受け入れ体制などの情報を教えてもらえる場合もあります。サービスによって、紹介できる求人や、受けられる支援の内容は異なります。最新の情報は、各サービスの公式サイトで確認してください。
無資格・未経験の介護職に関するよくある質問
Q. 無資格で訪問介護の仕事はできますか。
訪問介護は、介護福祉士や、介護員養成研修(初任者研修など)の修了者が行う仕組みです。応募する前に、介護職員初任者研修の受講を検討してみてください。働きながら資格取得を支援してくれる事業所もあるため、求人票や面接で確認すると安心です。
Q. 資格は、入職前に取っておいたほうがよいですか。
入職前に取っておくと、応募できる求人の幅が広がる場合があります。一方で、働きながら取得する方法もあり、現場で学んだ内容と、研修の内容を結びつけやすい点は利点です。時間や費用、家庭の状況にあわせて、取得するタイミングを考えてみてください。
Q. 運転が苦手でも、デイサービスで働けますか。
送迎の担当は、事業所によって異なります。運転を担当しない配置や、送迎を専任の職員が担う事業所もあります。応募前に、送迎の体制と、新人の担当範囲を確認してみてください。
まとめ
無資格・未経験でも、介護職として働き始められる職場はあります。ただし、利用者の介護度、送迎、レクリエーション、夜勤の体制、資格取得の支援などは、事業所によって異なります。求人票の言葉だけで決めず、見学や面接で確認し、必要に応じて介護職に詳しい相談先も活用してみてください。自分に合った職場が見つかれば、長く働きやすくなります。