介護士のキャリアアップに役立つ国家資格:受験資格、難易度など

 

介護士の中には、「別の介護資格を取得してキャリアアップを図りたい」と考えている人も少なくありません。ここでいう介護士とは、無資格、もしくは介護職員初任者研修を修了している介護スタッフのことを指します。

 

そして、介護士における新たな資格取得によるキャリアアップとは、「無資格の人が介護職員初任者研修を受ける」「介護職員初任者研修の資格を所有している人が、国家資格である介護福祉士を取る」などです。

 

介護職に限ったことではありませんが、新たな資格を取得することは給料アップにつながります。特に介護職では、資格による収入の違いが大きいため、こうした資格取得によるキャリアアップを目指す人が多いです。

 

そこで今回は、「介護士のキャリアアップに役立つ国家資格」について解説します。

 

介護福祉士

介護福祉士は、介護士の多くが目指す国家資格です。いわゆる介護士の上位資格であり、介護福祉士の資格を所有していると資格手当などが付くようになります。

 

介護士との給料の違い

無資格、もしくは介護職員初任者研修を修了していた介護士が介護福祉士の資格を新たに取得すると、多くの職場では資格手当が支給されます。それでは、実際に介護士と介護福祉士ではどれほど給料に違いがあるのでしょうか。

 

以下に、厚生労働省が行った「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果」から、介護士と介護福祉士における給料の違いを記します。

 

  介護士(介護職員初任者研修修了者) 介護福祉士
平均年齢(歳) 44.1 41.9
平均勤続年数(年) 6.3 8.0
平均給与額(円/月) 267,410 297,320

*ここで示されているのは、介護職員処遇改善加算(1)〜(4)の届出をしている事業所を対象に調べられた値です。

 

このように厚生労働省の調査では、介護士と介護福祉士とでは月収で30,000円もの差があります。実際には、介護福祉士の資格手当として30,000円が支給される職場は少ないです。ただそれでも、ほとんどの職場で数千円〜1.20,000円の資格手当は付きます。

 

そのため、介護士が介護福祉士の資格を取得することは、確実に収入アップにつながるのです。

 

受験資格

介護士が介護福祉士の試験を受講するためには、ある一定の条件を満たさなければいけません。そしてその条件は、あなたがこれまで受けた教育課程によって異なります。

 

 ・福祉系の高校を卒業している
福祉関係の高校を卒業して介護士として働いている人の中で、平成21年度以降の入学者は、新カリキュラムを修了しているため、それだけで介護福祉士の筆記試験を受けることができます。

 

またこうしたケースでは、筆記試験に合格すると実技試験を受けることなく介護福祉士の資格を取得することになります。

 

その一方で、同じように福祉系の高校を卒業していても、平成21年以前に入学して旧カリキュラムしか修了していない人は「介護技術講習を受けた上で筆記試験を受ける」もしくは「介護技術講習を受けずに筆記試験を受けて、その後に実技試験を受ける」という選択肢があります。

 

つまり、前者のように介護技術講習を修了していれば実技試験を受ける必要はありませんが、介護技術講習を受講していない場合には、筆記試験だけでなく実技試験も合格しなければいけません。

 

また、平成21年度以降に特例高校等に入学した人は、実務経験を9ヶ月積むと、旧カリキュラムの人と同じような受講ルートで試験を受けることができます。

 

特例高校等とは、学校教育法による高等学校又は中等教育学校であって文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定されており、社会福祉士介護福祉士学校指定規則で決められている教科目・単位数を履修できる学校のことを指します。

 

このように、福祉系の高校で新カリキュラムを修了している人は実技試験は必要ないのに対して、それ以外の人は、筆記試験だけでなく技術講習もしくは実技試験を受けなければいけないということです。

 ・実務経験ルート
福祉系の高校や大学を卒業せずに介護職となった人は、実務経験3年以上を経て、なおかつ「実務者研修」を受講していれば、介護技術講習や実技試験を受けることなく、筆記試験に合格するだけで介護福祉士の資格を取得できます。

 

また、実務者研修を修了していなくても実務経験が3年以上ある場合には、高校で旧カリキュラムを卒業している人と同じように「介護技術講習 → 筆記試験」「筆記試験 → 実技試験」というルートもあります。
 

 

 ・養成施設ルート
卒業高校や実務経験に関係なく、養成施設に通うことでも介護福祉士の資格は取得できます。

 

具体的には、以下の2つのルートがあります。

 

・介護福祉士養成施設のカリキュラムを修了する(2年以上)
・福祉系大学、もしくは社会福祉養成施設等、保育士養成施設等のカリキュラム終了後、介護福祉士養成施設に通う(1年以上)

 

以上のルートであれば、実務経験がない人でも、介護技術講習や実技試験を受けることなく筆記試験のみで介護福祉士の資格を取得できます。

 

難易度

介護福祉士は国家資格になりますが、難易度はそこまで高くはなく、普通に勉強していれば受かるレベルです。

 

介護福祉士の国家試験における具体的な合格基準は、筆記試験・実技試験ともに「総得点の60パーセント程度」とされています。もちろん、年度によって難易度が異なるため、その年の難しさを考慮して補整された上で判断されます。

 

ただ、基本的には正解数がだいたい全体の60パーセント以上であれば、合格となる可能性が高いです。

 

介護福祉士の国家試験における実際の合格率は、50〜65パーセントとなっています。具体的には、合格率が低い平成18年では50.4パーセント、合格率が高い平成25年で64.6パーセントです。

 

このように合格率が60パーセント前後というと、低いように感じるかもしれません。

 

ただ、介護福祉士の国家試験を受けるのは女性が70パーセント近くを占めています。そのため、仕事はもちろんのこと、家事や育児に時間を取られて「十分に勉強せずに試験を受けている人が多い」という現状があります。

 

こうしたことからも、しっかりと時間を作ってコツコツと勉強していれば、問題なく介護福祉士の国家試験は合格点を超えることができます。

 

社会福祉士

介護士の中には、「福祉に関する相談業務を専門的に行いたい」と考えて社会福祉士の資格を取得する人もいます。社会福祉士の資格を持っていると、資格手当が付くだけでなく、職域が広がります。

 

例えば、社会福祉士の資格を所有していると、役所や県庁といった行政機関へ勤めることができます。他にも、地域支援センターなどで仕事をすることも可能です。

 

介護士との給料の違い

社会福祉士は、介護職の中でも収入が高い職種になります。実際に介護士と比較すると、平均月給が5万円以上違うのが現状です。

 

そこで以下に、厚生労働省が行った「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果」から、介護士と社会福祉士における給料の比較を記します。

  介護士(介護職員初任者研修修了者) 社会福祉士(介護現場で勤務)
平均年齢(歳) 44.1 35.3
平均勤続年数(年) 6.3 7.1
平均給与額(円/月) 267,410 324,300

 

受験資格

介護士が社会福祉士の資格を取得するときには、卒業した学校やこれまで経験した業務内容によって、資格試験を受講するまでのルートが異なります。

 

例えば、福祉とは関係ない一般大学等(4年)を卒業している人は、社会福祉士について学ぶ「一般養成施設等」に1年以上通うことで社会福祉士の国家試験を受けることができます。これが3年制の短大等を卒業している場合には、相談援助実務を1年経験しなければ一般養成施設等に入ることができません。

 

また、大学卒業などの学歴などがなくても、相談援助実務を4年以上経験している場合には、一般養成施設等に1年以上通うことで社会福祉士の国家試験を受けることができます。

 

以下に、社会福祉士の国家試験受験までのルートを記します。

 

・養成校施設への通学が不必要なルート

・養成校施設への通学が必要なルート

 

難易度

今まで述べたように、社会福祉士の国家試験を受けるためには、学歴や実務経験が必須になります。そのため、社会福祉士の資格を取るためには、試験を受験するまでが大変です。そして、試験の合格率もかなり低い傾向にあります。

 

社会福祉士国家試験における合格率は、18〜30パーセントを推移しています。具体的には、最も合格率が低い平成24年で18.8パーセント、最も高い平成19年で30.6パーセントです。

 

このように、合格率が非常に低い社会福祉士の国家試験ですが、実際には計画的に勉強しておけば問題なく合格できるレベルです。

 

確かに、年々試験内容は難しくなっているようですが、資格を取得した人の中には数ヶ月の勉強で合格する人もいます。そのため、いくら合格率が低いといっても、あなたの理解度や勉強に充てることができる時間を考えながら計画を練って勉強しておけば、そこまで苦労することなく資格を取得することができるといえます。

 

看護師(Nrs)

介護士の中には、看護師の資格を取得したいと考えている人もいます。看護師の資格を取るためには学校に通う必要があるため、介護士から看護師になる人は多くはありません。ただ、それでも看護師の資格を取る介護士は存在します。

 

介護士との給料の違い

看護師は、介護職の中で最も給料が高い職種です。実際に看護師は、介護士と比較して平均月収が10万円近く高いと報告されています。

 

以下に、厚生労働省が行った「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果」から、介護士と看護師の給料の比較を記します。

  介護士(介護職員初任者研修修了者) 看護師(介護現場で勤務)
平均年齢(歳) 44.1 49.0
平均勤続年数(年) 6.3 8.8
平均給与額(円/月) 267,410 365,220

 

受験資格

看護師の免許受験資格を得るためには、看護師養成校に通うことが必須です。

 

そのため、一度介護士を辞めて看護師の資格を取得しようと考えている場合には、大学や短期大学、専門学校に3年以上(大学は4年)通ってカリキュラムを修了することで、国家試験を受けることができます。

 

しかし、看護師の養成校には夜間制(定時制)が無いため、働きながら資格を取得することは難しいです。

 

ただ、准看護師の資格を有している人は、一定期間の実務経験を経ていれば、通信制過程を2年受けることで看護師の国家試験を受けることができます。

 

難易度

看護師は、国家試験を受けるまでの過程は大変ですが、国家試験自体はそこまで難しくありません。当然ながら、しっかりと学校で勉強や対策を行わなければ合格することはできませんが、普通にコツコツと勉強していれば試験には合格できます。

 

実際に、看護師の国家試験における合格率は90パーセント前後となっています。

 

ただ、1度国家試験に落ちてしまい、翌年に試験を受ける場合には、合格率が大幅に下がるため注意が必要です。具体的には、平成27年度の国家試験における新卒者の合格率が94.9パーセントであるのに対し、既卒者は35.5パーセントと報告されています。

 

このように、看護師の国家試験は難しくはありませんが、1回で受かるように意識することが大切です。

 

リハビリ職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)

介護士の中には、一緒に働くリハビリ職者に触発されて、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)といったリハビリ職の資格を取る人もいます。

 

介護士との給料の違い

リハビリ職の資格を持っていると、介護職の中でも高い給料をもらうことができます。実際に、介護士とリハビリ職では平均月収が7万円以上違うのが現状です。

 

以下に、厚生労働省が行った「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果」から、介護士とリハビリ職者(PT・OT・ST)の給料の比較を記します。

  介護士(介護職員初任者研修修了者) リハビリ職者(介護現場で勤務)
平均年齢(歳) 44.1 37.7
平均勤続年数(年) 6.3 6.2
平均給与額(円/月) 267,410 340,780

 

受験資格

PT・OT・STなどのリハビリ職の国家試験を受けるためには、看護師と同じように養成校に通うことが必須です。ただ、リハビリ職の場合は夜間(定時制)の学校があるため、介護士として働きながらでも資格を取ることができます

 

そうはいっても、養成校の勉強量は多いため、働きながら学校に通うことは容易なことではありません。

 

難易度

PT・OT・STなどのリハビリ職の国家資格も、看護師と同じように普通に勉強していれば合格できるレベルです。確かに、PT・OT・STの中でも、理学療法士の国家試験合格率は年々下がっています。

 

ただ、それでも理学療法士の国家試験合格率は80パーセントを超えています。そして、作業療法士は80パーセント前後、言語聴覚士は50〜75パーセントとなっています。

 

このように、STはPTやOTと比較すると、若干合格率が低いのが現状です。しかし、学校で提供されている対策をしっかりと実施すれば、問題なく合格できる難易度だといえます。

 

ケアマネージャー(国家資格外)

国家資格ではありませんが、介護士の中にはケアマネージャー(介護支援専門員:ケアマネ)の資格を取得したいという人も少なくありません。社会福祉士と同じように、ケアマネの資格を取ると、介護業界における職域が広がります。

 

介護士との給料の違い

ケアマネは、看護師やリハビリ職者を抜けば介護職の中で最も給料が高い職種になります。実際に、介護士とは平均月収が約6万円も違うのが現状です。

 

以下に、厚生労働省が行った「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果」から、介護士とケアマネの給料の比較を記します。

  介護士(介護職員初任者研修修了者) ケアマネ(介護現場で勤務)
平均年齢(歳) 44.1 46.1
平均勤続年数(年) 6.3 10.9
平均給与額(円/月) 267,410 334,410

 

受験資格

介護士がケアマネを取得するためには、以下の条件を満たしている必要があります。

 

・相談援助業務に5年以上従事し、従事日数が900日以上

 

ここで相談業務とは、介護施設における利用者の相談に当たりますが、具体的な内容は2017年を境に変わります。

 

2017年まで

以下の施設における、要介護者等の日常生活自立に関する相談対応や助言、指導等の援助

 

・老人福祉施設、障害者自立支援法に基づく障害者支援施設
・老人デイサービス事業、障害者自立支援法に基づく共同生活介護
・福祉事務所(ケースワーカー)
・医療機関における医療社会事業(MSW)など

2018年以降

・生活相談員として実務経験5年以上
(地域密着型)老人福祉施設、(地域密着型)特定施設入居者生活介護における、要介護者等の日常生活の自立に関する相談援助業務

 

・生活相談員として実務経験5年以上
介護老人保健施設における、要介護者等の日常生活の自立に関する相談援助業務

 

・相談支援専門員として実務経験5年以上
障害者総合支援法第5条第16項及び、児童福祉法第6条の2第6項に規定する従事者として従事

 

・生活相談支援員として実務経験5年以上
生活困窮者自立支援法第2条第2項に規定する事業の従事者として従事

 

要約すると、2017年までは介護士として介護等業務に従事して5年以上の実務経験があれば、ケアマネの試験を受けることができました。その一方で、2018年以降は、以上に記した条件を満たさなければケアマネの試験を受けることができなくなったのです。

 

またどちらにしても、実務経験を証明するためには、勤務中もしくは以前努めていた職場から「実務経験証明書」をもらわなければいけないことを忘れないようにしてください。

 

さらに、ケアマネの試験に受かった後は、87時間の実務研修を受けることが必須となっています。

 

難易度

既に述べたように、ケアマネの資格は試験を受講するまでの条件が厳しいです。また、試験自体の合格率も15〜25パーセントと非常に低い傾向にあります。

 

ただ、ケアマネの試験は、いわゆる「記念受験」のような形で、あまり勉強せずに受けている人が多い現状があります。そのため、本気で勉強して試験を受けた人だけであれば、合格率はもっと高くなります。

 

そうはいっても、ケアマネの試験は年々受講資格が厳しくなっている上に、合格率が低いのが現状です。

 

こうしたことからも、しっかりと計画的に勉強しなければ試験に合格することは難しいといえます。

 

今回述べたように、介護士として国家資格を取得することは、キャリアアップにつながり、収入を上げることになります。また当然ながら、新たな資格を取ることでキャリアだけでなくスキルもアップするため、仕事に対する充実感も変わります。

 

もし介護士でキャリアアップやスキルアップを狙っている場合には、以上に記した国家資格の取得を検討することをお勧めします。


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