高卒からの介護就職における現状:給料、資格、注意点

高卒介護就職

介護職の中には、高卒で介護業界に就職した人も多く存在します。そして、現在高校生である人には、介護職への就職を検討している人もいるはずです。

そうした中で、高卒の介護職における初任給や年収、就職時の注意点などを把握しておくことは大切です。高卒から介護職になった人の現状を知らずに就職すると、働き始めてから後悔することになりかねません。

高卒から介護職に就職する場合には、現状を踏まえた上で、就職活動のポイントを押さえておくことが重要です。そうすることで、高卒から介護職へ就職する際の失敗を避けることができます。

そこで今回は、「高卒からの介護就職における現状」について解説します。

高卒から介護士になるためには

高卒から介護職に就く人の多くは、介護に関する資格を有していません。そして、高卒から介護士になるために必要な資格はありません。ただ当然ながら、介護資格を持っていた方が就職には有利であることは確かです。

ここからは、高卒から介護士になる方法について記します。

無資格・未経験でも問題ない

既に述べたように、高卒から介護職に就職したいと考えている人の多くは無資格・未経験です。実際に、介護職として働くためには、無資格・未経験でも問題ありません

例えば、デイサービスやデイケア、病院などの介護職であれば、「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」や「介護福祉士」といった介護資格を持っていなくても働くことができます。また、普通四輪免許を持っていれば、利用者さんの送迎ドライバーとして就職することも可能です。

ただ、求人に「有資格者募集」と書いてある場合には、介護職員初任者研修や介護福祉士などの資格を持っていることが、応募の要件となっています。そのため、高卒で無資格・未経験の場合は、こうした「有資格者募集」の求人には応募できません。

このように、無資格・未経験でも介護職として働くことはできます。ただ、求人を探す際には「有資格者募集」という求人には応募しないように注意することが大切です。

無資格だとできない介護業務

高卒で無資格・未経験であっても、介護職として働くことはできます。しかし、全ての介護現場が無資格・未経験で勤めることができるわけではありません。

例えば、「訪問介護」は資格を必要とする介護業務の一つです。訪問介護とは、利用者さんの自宅を訪ねて、入浴介助や食事介助などを行う介護業務です。訪問介護を一人で実施するためには、介護職員初任者研修を修了しておかなければいけません

その他にも、痰の吸引や胃ろうの処置などは、医師や看護師といった医療従事者、もしくは研修を受けた介護職員しか実施できません。
このように、高卒から無資格・未経験で介護職になる場合には、無資格では行えない業務について理解しておくことが大切です。

高卒で取っておくと便利な資格

無資格・未経験である人の中には、介護職として働くことに不安を持つ人も多いはずです。しかし実際には、多くの介護施設では、新入職員向けに研修を実施しているため、未経験であることに過剰な心配をする必要はありません。
ただそうはいっても、高卒時に介護資格を取得しているのに越したことはありません。

例えば、介護職員初任者研修は、土日で取得できるため、高校に通いながらでも取ることができる介護資格です。介護職員初任者研修を受けておけば、ある程度は介護に関する知識や技術を身に付けることがでます。そのため、不安なく介護職として働くことができます。

また既に述べたように、介護職員初任者研修を修了していれば「有資格者募集」の求人にも応募することができます。つまり、高卒から介護職に就く際に「就職先の選択肢が広がる」ということです。

このように、高卒から介護職に入る場合には、可能であれば介護職員初任者研修を修了しておくことをおススメします。

もちろん、無資格・未経験の状態から就職して、働きながら資格を取得することも可能であるため、焦って資格を取る必要はありません。

高卒からの介護職における給料

高卒で介護職員として働く場合に、「初任給やキャリアアップ後の給料が気になる」という人は少なくありません。これから就く介護業界の給料事情について把握しておくことは重要です。

以下に、高卒からの介護職における給料事情について記します。

初任給

高卒からの介護職における初任給に関しては、厚生労働省が実施した「平成27年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」を元に予測することが可能です。この報告では、医療・福祉業界における高卒者の初任給は、以下のように報告されています。

医療・福祉業界における高卒者の初任給
150,700円

ここでは、医療・福祉業界となっていますが、看護師や理学療法士、作業療法士といった国家資格は、専門学校か大学を卒業しなければ取得できません。そのため、以上に記された給料は、高卒で介護職に就いた人の給料であるといえます。
手取りは、この額から税金や保険料などが引かれるため、12~13万円となります。
こうした高卒から介護職になった人の初任給は、他業界と比較すると低いのが現状です。例えば、他の業界における高卒者の初任給は以下のようになっています。

建設業 製造業 サービス業 全体
168,100円 161,500円 159,600円 160,900円

このように、高卒から介護職に就いた人の初任給は、12~13万円であり、他業界と比較すると少ないことがわかります。

年収

ここまで述べたように、高卒で介護職に就いた場合、月収は総支給で150,000円前後となります。そのため、この額を12倍(12ヶ月分)して、賞与(ボーナス)を足した値が、高卒介護職におけるおおよその年収だといえます。

そして、介護職における賞与は、1回辺り10~20万円であるところがほとんどです。ただ、基本的に賞与は6ヶ月以上勤務していないと支給されない職場がほとんどであるため、高校を卒業した1年目の年収は「月収 × 12 + ボーナス1回分」で算出することができます。

この式に、高卒の介護職者における月収・賞与額を当てはめると、200万円前後となります。実際に、口コミなどを見ても、高卒で介護職に就いた人における1年目の年収は、180~220万円となっています。

このように、高卒で介護職に就いた人の年収は、おおよそ200万円であるのが現状です。

介護福祉士、ケアマネージャー、社会福祉士の給料

高卒から無資格・未経験で介護職に就職する人の中には「将来的には、新たな資格を取得してキャリアアップしたい」と考えている人も少なくありません。そこで、無資格の介護士と、介護資格である介護福祉士、「ケアマネージャー(ケアマネ:介護支援専門員)」、「社会福祉士」における給料の違いを記します。

無資格介護士(平均年齢) 介護福祉士 ケアマネージャー 社会福祉士
253,550円(37.0歳) 297,320円(41.9歳) 334,410円(46.1歳) 324,300円(35.3歳)

*厚生労働省の統計(平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果)、介護職員処遇改善加算(1)~(4)の届出をしている事業所

このように、無資格と有資格では、これほど月収に差が生じるのです。こうした給料の違いを理解した上で介護職に就職すれば、将来的なキャリアプランをイメージしながら介護職として働くことができるようになります

高卒で介護職になった人の現状

それでは、高卒で介護職になった人の現状はどのようになっているのでしょうか? ここからは、高卒で介護職になった人の現状について記します。

フリーター、ニートより良い

介護職は、安月給で重労働であるため、人気が低い職種です。そのため、高卒から社会人になる人には「介護職にはなりたくない」という人も少なくありません。また、両親から反対される人も多いです。

ただ現状として、高校を卒業しても就職できずにフリーターやニートの状態となる人はたくさんいます。

そうした状況の中で、介護職は慢性人手不足であるため、就職先はたくさん存在します。そして、高卒から介護職に就いた人の中には、「確かに仕事は大変だけど、フリーターやニートになるよりは良い」と考えている人も多いです。

このように、どれだけ安月給で重労働な介護職であっても「高卒からフリーターやニートになるよりは良い」と感じて介護職に就職した人も少なくありません。

介護職を辞めた理由

高卒から介護職になった人には、介護職を辞めてしまった人も少なくありません。その理由は人それぞれです。ただ、介護職を辞める原因は、だいたいいくつかにまとめられます。

例えば、「給料が安かったから」という理由は、高卒で介護職に就いた人が介護業界を離れる大きな原因の一つです。その他には、「職場内の人間関係」「夜勤などの労働環境」「腰痛を発症して働けない」といった理由も挙げられます。

高卒で介護業界に入った人が介護職を辞める理由は、ほとんどの場合が以上に挙げた「給料」「人間関係」「労働環境」「体調不良」の4つのいずれかになります。

このように、高卒から介護職になった人には、介護業界を辞めていく人がいるのも現状です。

正社員として雇用された

高卒で無資格・未経験であっても、正社員として雇用されている人はたくさん存在します。既に述べたように、高卒でフリーターやニートになる人が多い中で、介護職であれば正社員として雇用されやすいです。そして、正社員になりやすいことは、介護職になる大きなメリットです。

正社員になると、賞与が支給されるだけでなく、福利厚生を受けることもできます。そして何より、パートやアルバイトなどと比較すると、雇用が安定しているため、仕事が急になくなる可能性が低いのです。

このように、高卒から介護職になった人の中には、正社員として働いている人がたくさんいます。

高卒から介護職になる人の注意点

正社員として雇用されやすいことは、高卒から介護職へ就職する大きなメリットです。ただ、介護職として働く場合には、注意しなければいけない点がいくつかあります。そのことを知らずに介護職になると、就職後に後悔することになりかねません。

3K(きつい、きたない、きけん)

介護の仕事は、「3K」だといわれます。3Kとは、「きつい」「きたない」「きけん」という3つの頭文字を取ったものです。実際に介護職者には、介護の仕事を3Kだと感じている人は多いのが現状です。

例えば、介護職では夜勤が存在するため、そうした不規則な勤務体制をきついと感じる人は少なくありません。また、介護職の仕事には「おむつ交換」があります。介護に慣れている人であれば、おむつ交換に抵抗を感じる人は少ないです。ただ、初めておむつ交換をする人の中には「きたない」と思う人もいるはずです。

さらに、体重が重い人の介護を行う際には、自分自身の身体にも負担がかかります。それだけではなく、もし一緒に転倒してしまうと、利用者さんだけでなくあなた自身が怪我をする可能性もあるのです。

もちろん、介護職が働く職場の全てが「きつい、きたない、きけん」というわけではありません。しかし現状として、介護現場にはこのように感じる可能性が高い職場が多いのは事実です。

高卒から介護職に就職する際には、3Kという現状があることを理解しておくことは大切です。

介護の仕事を続けるためには「やりがい」を感じることが大切

ここまで述べたように、介護の仕事は、決して給料が高いわけではありません。むしろ、他業界と比較すると給料は安いです。また、3Kといわれるように、仕事内容も大変である職場がほとんどです。

そのため、給料や仕事の楽さを求めるのであれば、はっきりいって他業界に就職した方が良いのが実際です。

そうした中で、介護職として働く人の中には、仕事に対して強いやりがいを感じているために、介護職を続けいている人がたくさんいます。

介護職の仕事は、主に高齢者である利用者の介護です。つまり、介護職は人を支える仕事になります。こうした、人の役に立つ仕事を行うことは「自己肯定感」を高めることにつながるため、やりがいを感じやすいのです。

自己肯定感とは「自分は生きている価値がある」「誰かに必要とされている」といったように、自分の存在価値を感じることをいいます。

そのため、高い自己肯定感を持つことは、充実した人生を送るために大切なことなのです。

介護職は、利用者さんの生活を支援する仕事であるため、自己肯定感を高めやすい職種であるといえます。そのため、介護職者には介護の仕事に強いやりがいを感じている人が多いのです。

このように、介護職は安月給で重労働であるのが現状です。そうした中でも、介護職として働き続けるためには、介護という仕事に対してやりがいを感じることが大切だといえます。

キャリアアップすれば高収入も可能

ただ、介護職は安月給といっても、あなたの頑張り次第でキャリアアップすることは可能です。

例えば、既に述べたように、介護福祉士やケアマネージャー、社会福祉士などの資格を取得すれば、それだけで給料は上がります。また、介護施設の施設長や施設管理者といった役職に就くことができれば、必然的に給料は高くなります。

介護の世界では、高卒や専門卒、大卒といった学歴は関係ありません。キャリアと経験を積めば、高卒であろうと、キャリアアップすることは可能です。

このように、たとえ安月給で重労働というイメージがある介護職でも「キャリアアップして高収入を得ることも可能である」ということを知っておいてください。

今回述べたように、高卒で無資格・未経験であっても、介護士として働くことは可能です。そして、高卒から介護職になることには「正社員になりやすい」というメリットがあります。また、最初は低賃金であっても、資格を取得したり、管理職者となったりすることで、高収入を得ることもできます。

もちろん、介護現場には、3Kと呼ばれるような職場が存在することも事実です。高卒から介護職に就職する際には、こうした現状を知った上で選択することが大切になります。
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